新聞記者 (角川新書) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • モリカケ問題で揺れる安倍政権下、官房長官記者会見でスッポンのように菅氏に食らいついて嫌がられた名物記者が記す、記者奮闘記。2017年10月刊行。

    「警察や検察、権力者にとって隠したいと思うことを明るみに出すことをテーマにしてきた」という著者。公権力の暴走を食い止めるには、著者のように空気を読まず果敢に斬り込む記者の存在が必須だな。こういう記者にもっともっと頑張ってもらいたい。著者のような記者に自由に活動させる東京新聞にも頑張ってもらいたいな。

    ただ、秘密を暴いて読者の興味を惹くネタに仕上げ、読者・視聴者に届ける、という記者の仕事自体はやはり好きになれない。この感じは、本書を読んでも全く変わらなかった。

    国民の知る権利ってそんなに高尚なものではなくて、結局は野次馬根性と他人を貶める快感に行き着くのだと思う。そういった人々の欲望を満たすために他人のプライバシーにズケズケと入り込んでくる記者たち、事実をねじ曲げて報道し、それによって傷つく人々がいてもおかまいなし、という事件報道とかスキャンダルスクープには辟易させられている(なので、最近テレビはほとんど見なくなった)。良識派ジャーナリストがいる一方で、多くの記者は、たまたま政治部に配属されれば政治家を叩いて喝采を浴びようとし、社会部に配属されれば事件を面白おかしくスクープし、というだけのような気もしてしまうのだが…。

  • 新聞記者を書き
    映画化でも話題になった
    東京新聞記者の望月 衣塑子さん。

    Netflixでのi ー 新聞記者ドキュメント ーを
    観て、この人の本を読みたくなって。

    政治記者は
    そもそも事前の質問と回答と言う
    予定調和な発言を
    国民に知らせる為にいるのか?
    それ共準備されていない
    政治家の本音を聞く為にいるのか?

    彼女の言う

    支えあい、学びあい、
    人に優しい社会に向けて何ができるのか。
    一記者として、一人の人間として、
    取材を重ね人と議論し、考え続けていきたい。

    と言う結びの言葉が
    全てを物語っているかもしれない。

  • 映画になったと聞いたので読んでみたけど、まるっきり面白くなかった。自己紹介ブログみたいなもん。映画の「原案」なのね。

  • 電子書籍で読んだ。
    期待して読んだからか、内容としてはそれほどでもなかった。
    半分は著者の自伝、自己紹介であり、たいして面白みもない。
    もう半分は一記者としての奮闘を描いてはいるが、そこから見えてくる政府の意図を暴露したり、利害の絡む政争を赤裸々に描いたものではない。
    新聞記者とはどういうものかを知りたい人には良いのではないか。
    ただ、官房長官としての在任期間が最長の、菅官房長官とのやり取りだけは面白かった。
    官房長官とは内閣官房長官のことであり、内閣官房のトップである。記者からの質問をはぐらかす「菅話法」とポーカーフェイスで、鉄壁の守りだ。
    その菅官房長官が嫌がるような鋭い質問を投げかける著者の勇気は賞賛に値する。
    「忖度」が横行する世界で、あえて忖度しないスタンス、あえて空気を読まないスタンスを取り続けるのは苦労も多い。それを感じながらも、そのスタンスを崩さないのは自分の原則を持っているからだ。

  •  とても読みやすい本です。筆者は新聞記者ということで、文章力はさすがです。

     それにもまして、今の報道の在り方を考えさせられます。視聴率やクリック数を稼ぐために、本来の報道の使命が忘れられているのではないでしょうか。

     筆者を批判する人もいるようですが、私は応援しています!!

    【追記】
     2019/07/07 映画も観ました!!

  • 新聞記者という仕事を中心に、著者の生き方などについて半生を語られています。著者の仕事に対する向き合い方やその思いについて考えさせられるような内容になっています。取材をするということはどういうことなのか。取材対象は人間なので、理屈以外にも人情といったものが重要になってくるということ。それはやはり向き合い方なのだということが、著者の仕事観として伝わってきます。そしてその中で、自分の信じる方針を曲げずに貫くことが、やがて他の人にも知られ、タブーでなくなる状況を作り出すということ。敵を作ってしまう宿命にある新聞記者という職業にとって必要なことを知ることができます。周囲に眉をひそめられても、それを貫くことで、いつしかその姿勢を応援してくれる人が現れる。それは素晴らしいことだとは思います。

  • 絵に描いたようなジャーナリスト魂。ちょっと気恥ずかしいが読んで勇気をもらった!

  • 前半は親近感を生み、後半で本題に入るという構成になっている。エッセイっぽい前半部分は面白く読め、なんとなくどういう人なのかはもちろん調整しているのであるうけれども滲むように思いました。というよりそんなに素を隠そうともしていないし、なんならどこにでもいる人という印象すら持ちました。ストーリー志向、属人的能力主義という感じでしたが、その辺は別に個性なので良いのかなと。本の中で気持ちがのってない文章はチグハグになるのかな?と想像した部分はありました。
    最近読んだ朝日新聞政治部、という本でも思いましたが、記事内容について、主観やストーリーや質問で作り上げるというのは何か科学をベースにした生業の身としては馴染まないものがあるものの、権力対権力の戦いなので、そうなるのもしょうがないのかなと思いました。記者の活動目的が情報媒体としての記事の完成度なのか、世間に波を生むことなのかについては、完全に分かれるものではないと、筆者の文章を読んでいて感じました。
    主張内容の如何については客観的事実が不足しているので素人には分かりませんが、なんとなく読んで得るものは多かったです。

  • 東京新聞の新聞記者の望月氏の自伝。

    ちまたで言われてることは置いといて、以下雑感。

    ・旦那さんも同業者らしい。
    ・千葉県警担当の時に暴力団の組長逮捕の飛ばし記事を書いて、支局長とキャップが謝罪に行ったのというのが一番印象的だった。

  • 映画「新聞記者」が、第43回日本アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞などの6つの賞を受賞した。
    それまで「新聞記者」という映画を全く知らなかったので興味を持ち、本屋で同じ書名、同じ作者の本があったので映画の原作と思って買ってみた。
    しかしこれは、映画の原作ではなく、映画はこの本の一部をベースに映画用に別途書き下ろしたものであった。

    とは、言いながら著者の望月衣塑子の生い立ち、何故新聞記者になったのか、またその現場で、何がなされているのか、それに対して著者はどのように向き合っていくのかという姿勢というか、彼女の迸る熱意が明確に伝わってくるのは好感が持てた。
    ただし、内容的には、森友・加計問題を初めとして、現政権への批判の思い入れが強いというか、気持ちだけが空回りしているのではないかと感じるものがある。

    特に、YouTubeでの菅官房長官への質問の様子を見ていると、感情だけが先走って、もう少し冷静な覚めた眼で見るスタンスが欲しい気がした。

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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。東京新聞社会部記者。著書に『権力と新聞の大問題』(集英社)など。2017年、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞

「2018年 『しゃべり尽くそう! 私たちの新フェミニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

望月衣塑子の作品

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