Red (中公文庫) [Kindle]

著者 :
  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 島本理生さんの小説は初めて。
    印象的な装丁の文庫本を選んでみた。
    話に引きずり込まれて、一気に読んでしまった。

    性描写が上手いと思った。
    直截的ではないが生々しい。リアルでエロい。

    不倫は苦しくて辛い。どんなに時間を捻出しても二人の時間は限りなく限られている。儚さと切なさが痛いほど伝わってくる小説だった。

    ー セックスだって会話だって、長くいりゃあ、かならずいつか飽きるし。人生でほんの一瞬でも本気になれたら、十分じゃないの。

    印象的な小鷹のひとこと。刹那的だけど、何故かこの小説の中では救われる言葉として響いた。


    ...しかし、旦那が恐ろしく幼稚でしょうもなかった。結婚してからでないとわからない部分だし、不倫はよくないけど、塔子もかわいそう。
    でも翠ちゃんがいてほんとよかった。

  • 結末がどうなっていくのか気になり、あっという間に読み終える。
    主人公に共感できる部分もかなりたくさんあり、苦しすぎて涙してしまう部分もある。それだけ人物に感情移入しやすい。
    エピローグがなければ、違う結末を想像していた。

  • はっきりしない人達のはっきりしない関係。
    夫、何者?
    お姑さんとそのお姉さんはイメージがわくんだけど、他の登場人物は何がしたいの?と言う感じ。
    不倫も同居も就職も、状況の描写は良くて
    色々な場面で「あるある」と思えるのだけど
    まー小難しくとらえる人達。
    性的にも小難しい。

    だけど、読み進めるうちに生きる戦いがテーマなのか、、と感じ始めたら なるほど小難しく考えるから物語りになるのか。とも。

    そしてエピローグが良かった。
    こうなるのかこの人達。戦ってるじゃん皆。
    という感じ。
    最後でもお姑さんとお姉さんのセリフは
    しっくり。短い言葉でうまく表してるなと。

  • 大人の官能小説!という感じで艶やかだった。
    所謂「いい家」に嫁いだ拗らせ清楚系の主人公は小さい娘とモラハラ気味の夫と義理の両親と暮らしていて、がんじがらめの日々と、してくれない、快楽を享受するだけの夫にもやもやしながら昔の恋人に溺れていく。

    身軽な今の立場なら、そんなに暮らしにくい家なんて出てしまえばいいのに、と思うけれど、娘の存在がやはり大きかったのだなあ。母である前に人間であり女であり、揺れ動く心の描写がすごく巧みだった。

    エピローグも良かった。

  • 読み手を選びそうな小説。

    結婚ってなんなんだろうな。
    人生でほんの一瞬でも本気になれたら、十分なのかもな。
    長くいれば必ずいつか飽きるものなのだろうか。

    ラブホの名前がプレイステーションで、姉妹店はプレイステーションIIなの面白かった。

  • 料理と男性を立てる清楚さで惹きつけ自分の生活をみてもらう。育児しながらも働きたかったと本人は言っていたけれど女の子の甘えが見え隠れしていて本当にそんな覚悟があったとは思えない。不倫相手が病気だとわかったとたん関係を断つのも彼女の人生観が透けてみえる。優しくて経済力もあってSExも上手くて・・・なんていつまで少女の夢を見ているんだか・・。人生観を問われた作品だった。

  • たまにはサスペンスでも読もうかと太田愛さんの本を手に取ったつもりが、島本理生さんの本だった。

    勘違いしたまま読んでいたので、いつハラハラ展開が始まるのか気になりながら、半分くらいを読んだ時点で、この官能小説は太田さんじゃない!と気付いた。(アホである。ていうかなぜかお二人を混同していた)

    ほとんどがセックスの話で(穏やかな結婚生活を送っているけど、女性として満たされない思いを抱える…という話なので当たり前なのだけど)、なんじゃこりゃ、エロいことしか書いてない!主人公流されすぎやろ!と途中何度もリタイアしそうになった。
    でも、ギブアップせずに最後まで読んで良かったです。

    小鷹のセリフの、好きとか愛してるとか、ずっと思い続けるのが本物じゃなくて、一瞬でも本気になればそれでもう十分じゃないかっていうのは、真理だと思う。

    迷ったり気持ちが弱まったりしながらも、誰かを大切に出来たらそれでいいじゃん、と思う。

  • 島本理生作品 4冊目
    今回は映画化されたという「RED」を読んでみた。
    この小説 好き嫌いがはっきり分かれてしまう作品の様だが、
    私は結構 主人公に共感出来て、一気読みしてしまった。

    母子家庭で育った主人公 村主塔子 
    可愛い娘・家庭的な旦那・理解ある姑 理想の家庭にいるはずの主人公が、友人の結婚式で、学生時代 不倫をしていた元恋人 鞍田に再会して、人生の歯車が狂いだす。
    狂おしいほどに求め合う塔子と鞍田だが、現実での生活も守りたいと思う主人公の葛藤が痛い。
    社会復帰した塔子にちょっかいを出す 小鷹はなかなかの曲者で、話が進むにつれてキーパーソンになって来る。

    塔子の流されやすさに反感を持つ人もいるだろうが、自分の存在を 求められることで確かめ、傷つく主人公の痛みを 一緒に感じる読者も多いと思う。
    最後まで読むと(ほー)っと思えるので、 頑張ってラストに辿り着いて欲しい。

    全編濃厚な性描写が多く、通勤電車で読むには ちょっと抵抗があった。
    作者の経験からくる 複雑な心境が反映されているのだろうか。
    映像化できるの??
    映画はまだ観ていないけど 鞍田が妻夫木聡で、ちょっと 私のイメージと違う。
    ただ 複雑に困った顔を見せる鞍田の場面が多いから 困った顔は似合いそうだ。
    達観したチャライ小鷹は柄本佑 いいかも。
    そして いい味を出していた夫の真くん 間宮祥太朗か。「半分 青い」の時もそんな感じだったよね。

    30代~の女性なら 何かしら共感が持てるかもしれない 作品でした。

  • この方らしさを極めた作品。
    言ってみれば破滅型の登場人物ばかり。
    こういうふうに生きた方がいいのか、どうなのか。
    心と体の力にもよるだろうなあ。
    いずれにしても、子どもは大変。そして不倫は遺伝するのか。
    文庫本503ページ。

  • 結婚ってなんだろう。我慢?見せ物?貶し合い?
    相手を尊重して可愛がることがお互いできない関係は長続きしない。
    塔子の男を見る目がなかったとしかいいようがない。離婚なんて人生の中の面倒臭い行事でしかないから、結婚する前の判断能力をつけておくことが大事だと思った。
    しかし鞍田さんは塔子に執着し過ぎで怖いと思った。時間、お金、身体を捧げる相手を常識人なら塔子ではないのはわかるはず。
    もとより評価が満点なのは、塔子の気持ちが痛いほどよくわかるからである。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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