人間をお休みしてヤギになってみた結果(新潮文庫) [Kindle]

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  • 「ゼロからトースターを作ってみた結果」が面白かったので、トーマス・トウェイツが次なる挑戦をした「人間をお休みしてヤギになってみた結果」も読んでみました。

    読んでみた結果(笑)、これもまた最高の面白さだった!と言いたい!

    えー、実は、読み始めはちょっとテンション下がり気味でした。「トースターをゼロから作る」というプロジェクトはゴールが割とはっきりしていたのですが、今回の「ヤギになる」というプロジェクトは…なんというのか…ゴールがはっきりしてないなぁ…、と感じたですよね。

    人間は悩む、だから動物になってしまえば悩まなくてもすむのでは?そうだ、ヤギ(最初の構想では象なのだが)になってみよう!、というのが発端。

    ヤギになる、って、どこまで達成できたら「ヤギになった」と言えるの?というのがよくわからないですよね。脳科学的なアプローチもあれば、動物の骨格に関するアプローチもあれば、消化器官からのアプローチもある…。

    うーん、これ、ゴールがはっきりしないまま走り出してるけど、大丈夫か?本当に面白いのか? と思いながら読んでいたんですが、後半、俄然面白くなってきました。


    そうか、これは、人間とヤギ(だけでなくその他の動物たち)との違いを浮き彫りにするためのプロジェクトなのか!と。

    後半になって、病気で死んだヤギの解剖に参加させてもらえることになった著者。骨格について、消化器官について、実際に解剖してからの考察が深い。

    文庫版を購入して読んだのですが、文庫なのにカラー写真のページがとても多く、興味を惹かれる本でした。


    これだけ真剣にバカっぽいことをできる人ってすごい。
    トーマス・トウェイツさんの次なるプロジェクトは進んでいるんだろうか?
    楽しみ。


    そして、次なる挑戦が形になった時には、また村井理子さんに翻訳をしてほしい! 村井理子さんの翻訳、素晴らしいですね。ブロガーっぽい書き口を、違和感なく日本語に置き換えてくれているのがすごい(多分、言語が違うと意味をなさないダジャレとかが使われていると思うのに!)。

    これを機に、村井理子さんの著作も読んでみようかしら、と思ったりしたのでありました。


    ※追記
    人間と動物の脳の話のところで、興味深いことが書かれていたので追記。

    動物は家畜化されると脳が小さくなる、とのこと。そして、人間も、数万年前と比べると脳が小さくなっているらしい。ということは、人間も家畜化されているということか? そう、人間は、自分たちを自分たちでルールを作り安全性を確保するための社会を作ることで「家畜化」したのだと。

    脳が小さくなっているという話は聞いた(読んだ)ことがあったけれど、それを「家畜化」と結びつけたことがなかったので目から鱗でした。

    人間は、自主的に「家畜化」されていたのか〜。なるほどね。

  • ヤギになろうという、ふざけてるのか真面目なのか、よくわからない試みを本気でやって、実際にアルプスでヤギと一緒に過ごしましたよ、という著者の本。

    まず、将来の心配とかが色々あって犬の散歩中に悩んでいる著者が、「悩みから解放されたい」→「犬みたいに動物になろう!」という発想がなかなかにぶっ飛んでいる。
    その中でも「象になる」というところから始まって、色々調べてくうちに、「象になりたくなくなって」しまい、
    行き詰まって、シャーマンに会いに行くことになり、「象じゃなくてヤギよ」、とアドバイスを受けたところから、ヤギ化プロジェクトがスタート。
    ヤギの専門家に「ヤギになるとは?」をはっきりさせるべく話を聴きに行き、ヤギの体を手に入れるべく義肢?を作り(著者はギャロップにこだわるんだけど、「ギャロップは絶対無理!」って止められる)、牧草からエネルギーを吸収すべく、消化酵素を含んだ薬品を注入しようとするも、それは危険すぎる!と止められたり、脳をいじってヤギの思考になれないか?を試みようとしたり(50年待たないといけないみたいです)。ヤギとヒト、同じ哺乳類でありながら、進化の過程で、どう分岐していったのか?にも触れられ、笑えながらも興味深いです。

    紆余曲折ありながら、最後は見事ヤギと一緒にくらし、牧草を食んで、アルプス越えを果たす。
    構造上、上りはいけるけど、下りが相当きつい、とか本当面白い笑

    ただ、果たして悩みから解放されたのか?はわからず。やっぱ人がヤギになるのはしんどいんでしょうし、心までヤギになることはできなかったのかな。ヤギ食ってるし。。。

    ともかく発想はぶっ飛んでていても、アプローチは真っ当。さすが研究者である。果たして数十年後に同じようなことを試みたらどうなるのだろう?とちょっと気になりました。もっとスタイリッシュにヤギ化できるんだろうか?
    生き物をリバースエンジニアリングし、自分の体を改造していく。動機はさておき、SFチックで面白ßいです。
    こういう研究に金をつける財団もすごいですよね。
    そんなわけですごく面白い一冊です、ぜひご一読を。
    最終的にどんな姿になったの?は下記のページにも紹介ありました。
    http://enigme.black/2015081603

  • ゼロからトースターの人。
    今回は昔からよく言われる、鳥のように自由にとか犬や猫にお前はお前はいいなぁ、とか言ってみたりするアレを実際にやってみるような企画。
    当然ヤギになれるわけもなく今回も妥協、妥協の連続。一応ヤギにはなれたのかな??

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