発売当初から話題になり、年内に絶対読もう!
と思っていたビートたけしの書き下ろし小説。な、なんと、
純愛路線の恋愛小説だったりするから凄い。
インテリアデザイナーの青年が、行きつけの喫茶店で知り
合った謎多き女性に恋をする話。二人は強烈に惹かれ合っ
ているにもかかわらず、名前以外のお互いのパーソナル情
報(メールアドレス、電話番号、LINEのID、そして名字ま
で)を全く知らない。いや、敢えて知ろうとしない。毎週
木曜日の夕方に、この店に来れば会える・・・だけを頼りに
したなんとも頼りない恋愛模様。しかしデジタル全盛のこ
の時代に、あまりにアナログな関係は、逆にしっかりとし
た絆を作っていく・・・。
・・・なんともまぁ、気恥ずかしいくらいの恋愛小説(^^;)。
普段の僕なら絶対に手を出さないし、読んだとしても途中
で止める可能性は低くないジャンルの読み物なのだが、コ
レをたけし大先生が書いた、という事実があまりに面白い。
この作品、男女の間柄だけではなく、男同士の友情や会社
内の人間関係などもある程度深く掘り下げられているのも
凄い。破天荒で波瀾万丈な人生を歩んで来た筈のたけしさ
んが、いわゆる市井の人間の内面を(おそらく)想像だけ
で書いたモノに鋭く共感してしまうのだから、やっぱり
天才。改めてその才能に舌を巻いてしまった。
おそらく、どの世代の男女が読んでもそれなりにグッとく
ると思う。こういう人が東京五輪のプロデューサーをやっ
てくれればいいのになぁ・・・。