40代でシフトする働き方の極意 [Kindle]

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  • ・会社に潰れてしまうことなく、人間関係に過度の緊張をもたらさず、上手に生き残っていく方策について著者の考えを記した本。
    ・職場とは別の自分の場を持つ。
    意外におもしろいのは市民講座や大学の公開講座。
    ・これからの上司は相談型。一緒に考え、問題解決をしていく。
    部下であろうと相手の人格を尊重。組織のヒエラルキーはあっても、それに甘えることなく、自他の関係を構築する。
    ・家族で過ごせる時間は長くない。旅行に行ったり、食事に行ったりすることが心に残る財産になる。
    ・40代はメンターが必要。自分が目指す方向を定め、学ぶ人を見つける。メンターは一緒にいて気分が癒やされたり、楽しかったりする人も含む。

  • 佐藤優氏による著作。
    2017年12月15日第1刷。
    青春新書のこのシリーズは著者の得意技(?)である
    引用が殆ど無く、著者自身の考えが述べられており
    好感が持てる。
    所謂、団塊ジュニア世代、ロストジェネレーションに
    向けた本となる。
    本書は、月刊BIGtomorrow誌の連載「佐藤優のサバイバル!40代」を基に加筆・再編成したものです。

    今回特に印象的だったのは
    以下に自分の所属するチームに危険人物を
    入れないか、いかに危険人物を見抜くかだ。
    今の時代の仕事は掛け算の仕事が増え、
    ×0をしてしまう人がいると全てが台無しになる危険性を語っていた。
    全くその通りである。
    ただ足し算の仕事であっても不要なストレス、
    トラブルを周囲で引き起こす可能性もあり、
    結局どの仕事であってもトータルで見るとプラスにならないと思う。

    あと著者は私大文系で大学受験した事にコンプレックスがあるのか数学の学び直しを勧めている。
    ただ論理性を鍛える意味では必ずしも数学が良いとは思えない。
    だいたい数学は数学ⅢC、数学ⅡBまでやっているから偉いとかすごいとか全く関係ない。
    数学の難しさはたとえ数学IA分野でも十二分に難しい難問をいくらでもつくることが出来る所だろうに。
    単に白チャートレベルの基本形問題を幅広く解けるようになってもそれは簡単なレベル問題をただ解けるだけに過ぎない。
    数学こそ適性が重要になってくる所もあり扱いが難しいと思う。
    人生は短い。独学できる時間も限りがある。
    ここはあまり参考にしない方がいいと思う。

    参考になった部分を列挙してみたい。

    工場労働者にしてもそうです。
    1990年頃までは安定しているように見えました。
    いまの70歳前後の親たちは、学歴が低くても正社員となって家も買えたのです。
    親の世代にも、もちろん格差はあったのだけれども、その格差が小さかった。
    しかし、親の代の小さな格差が子の代で「レバレッジ」がかかって大きくなってしまった。
    親の時代の見えなかった小さな格差、気にならなかった程度だったものが、子の代に見える大きな格差となって表面に現れてしまうということです。
    こうした状況は「階層の固定化」といえるものですが、
    この問題は20年ほど前からいわれています。

    (山田昌弘「底辺への競争――格差放置社会ニッポンの末路」朝日新書、2017年、84~86頁)
    私も山田氏と認識を共有している。
    底辺に転落し、社会の下層に入ってしまうリスクを
    大多数の人々が抱えているというのが日本社会の現状だ。
    われわれには、自分が下層に転落するリスクがあるという現実をあえて見ない傾向がある。
    今までは、親に寄生する、借金するなどで、そのような現実を誤魔化すことができたかもしれない。
    しかし、そのツケが回り始めている。
    この状況を冷静に認識して、現実的な対策を立てなくてはならない。

    多くの人々が下層に転落しつつあることは、当事者の自己責任ではない。
    この点についても山田氏の以下の指摘が重要だ。
    「下降移動については「自己責任だ」ということがいわれがちです。
    けれども、100人いて1人や2人の問題なら自己責任ともいえるでしょうが、
    現在の100人いて何十人という社会になると自己責任論はナンセンスとしかいえません。
    個人の努力では解決不可能なほど、下降移動する人たちの数が増えているのです。

    ちなみに、「移民が悪い」「自由貿易が悪い」と主張する大統領を誕生させたアメリカの「トランプ現象」は、アメリカでも自己責任論がきかなくなってきたことを意味しています。
    狭量な時代になったともいえますが、アメリカはそもそも格差が大きく、文化的にも自己貴任だといって放置してきた問題について、それが通用しなくなっているのです。

    (掲書86頁)
    たしかに現在の社会構造には大きな問題がある。構造を変化させる努力は必要だ。
    しかし、世界的規模で起きているグローバリゼーションがこのような問題をもたらしているのだ。
    アメリカやヨーロッパと比べれば、日本の状況の方がまだましかもしれない。

    ご存じの通り、役員になれるのはほんのひと握り。
    仮に部長まで進んだとしても、57、58歳くらいのところで役職定年がある場合が多い。
    多くは子会社に出向することになるはずです。
    そう考えると、企業で最後まで勤め上げることができる人はごく少数で、多くは競争に敗れて会社を離れることになる。
    いま多くの大企業は、30代ですでに幹部候補を絞り込んでいるとか。
    そのほかの社員のモチベーションを下げさせない狙いがあるためか、基本的に会社はそのことを公にしません。
    表向きは40代なかばまで管理職ポストの競争が続いているように見せかけるのです。
    もはやレースは終わっているのに、昇進、出世の叶わぬ夢を描きながら、40歳を過ぎても競争に勝ち残ろうと必死で仕事を続ける――。
    そんな切ない現実があるわけです。
    そう考えると、このイスとりゲームに参加して、
    時間と労力を費やすリスクについても考えなければいけません。
    まずはそうした現実があることを直視したうえで、40代以降の仕事の方向性や取り組み方を考える必要があります。
    大企業などでは、50歳を過ぎたあたりでキャリアデザイン研修があるそうです。その研修は40代以降のベテランも参加するのですが、その研修の意味合いは、「40歳以降のキャリアには、会社に残る以外の選択肢もある」と意識させることにあるといいます。

    当たり前ですが、管理職になることが成功ではないし、管理職になれないことは失敗でも負けでもありません。
    たとえば、トップの成績を上げた営業マンが管理職になった途端に精彩を失ってしまうことはよくあります。現場で営業活動をする能力と、チームをまと
    め上げるマネジメント能力はまったく違うもの。

    幹部候補選抜を早々に受け、管理職のラインに乗った人とそうでない人の違いは、その人の能力ではなく年次などの運や適性の違いにすぎない。
    能力と適性を混同して、いたずらに自分を責めたり自信を失ったりする必要はないのです。
    - いま政府が掲げている「働き方改革」は、一億総活躍社会を目指して時間外労働の削減や労働生産性の向上、女性や高齢者の活用などを目標にしています。
    聞こえのいい言葉が並んでいますが、その本音には直面する少子高齢化と労働人口の減少に対応して、より合理的に労働力を確保、活用したいと言う意図があります。

    30代は会社組薇の一員としてひたすら成果を出すことに努める。しかし40代になったら、自分の能力と適性についていま一度振り返るべきでしょう。
    そして、これから自分が進む道をしっかり絞り込む必要があります。
    「そこであらためて軌道修正をするなり、そのまま今の働き方を続けるなり、一つの結論を導かなければなりません。その客観的な尺度となるのが、40歳の時点で会社の課長以上の管理職になっているかどうか。30代でクリアしている人は、少なくとも会社から管理職としてのキャリアを期待されていると考えていいでしょう。
    しかし40歳を過ぎてクリアしていない人は、自己評価はどうあれ会社としては管理職の適性を評価していないと考えられます。
    もちろん業種や職種によって差はありますが、少なくとも45歳で管理職になっていない人の挽回はまずないととらえておくべきです。
    基準が厳しいと感じるかもしれませんが、評価というのは他人がするものであり、自分の思いとは関係ありません。会社の評価が厳然としてある以上、それに対応して働き方を変えていく必要があるのです。「会社はわかってくれない」とか、「自分の力を評価しようとしない」と愚痴を言ったところで何も始まりません。

    住居と子どもの教育費の二者択一

    特に40歳以降、真剣に考えなければならないのはお金のことです。まず、自分の現在の仕事で、将来的にどれだけ収入が上げられるかを計算してみてください。現在の年収をもとにして、5年後、10年後にどれくらい稼いでいるか?それと併せて、自分や自分の家族にかかるお金がいくらなのか、必要になるお金をあらかじめ計算しておきます。
    ちなみに、労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2016」の試算によると、

    男性の生涯資金(退職金を含む)は大学・大学院卒が2億8510万円、高校卒が2億2900万円、中学卒が2億60万円となっています。
    「またリクナビNEXTが2016年に発表したデータによると、40歳ビジネスパーソンの平均年収は471.6万円。
    正規雇用と非正規雇用で分けると、正規雇用は535・2万円、非正規雇用はその約半分の246.7万円でした。
    さらに、平均年収の推移を別の統計で見ると、1997年の467万円をピークに減り続け、ここ数年は多少持ち直しているものの、2015年度は420万円と全体に右肩下がりが続いています。
    「年収が右肩上がりだった2000年以前までは、家を買って子どもを私立に行かせても何とかなりましたが、これからは難しい。特に都市部の場合、住宅を買って子どもの教育費を減らし、私立をあきらめて公立にするか、あるいは住宅をあきらめて子どもの教育費にまわすか、二者択一が迫られているような状況です。

    シングルを貫く人は相応の覚悟が必要

    「自分は独身だから気楽でいいよ」と考えている人も多いかもしれません。
    しかし私から言わせると、実は一番危険にさらされているのがシングルの方です。
    貴族などという言葉は以前の話。特に都心部に多いですが、一見自由をしているように見えても思ったほどお金に余裕がない。それどころか、実はほとんどがないというシングルも多いのです。
    先ほども触れたように、年収が昔のように伸びないということもあります。それから男性の場合はとかく支出が多くなりがち。飲み代だけでもバカになりません。誰もいないマンションやアパートに帰っても仕方がないと、行きつけの飲み屋やバーに寄る。

    シングルの自由さは同時にストッパー的な存在がいないということでもある注意したりアドバイスしたりしてくれるパートナーがいないのは大きなリスクだとも言えます
    怖いのはお酒にしてもギャンブルにしても風俗にしてもシングルの場合は依存症にまで行きついてしまうリスクが高いことです
    依存症的になると当然支出が増え毎月の収入だけでは足りなくなり借金に手を出してしまう借金が100万円を超えたら黄色信号です。そこからは200万円300万円
    あっという間に増えてしまう。収入の多くを返済にもっていかれてしまうようになると、もはや転落への一本道です

    今すぐ結婚に向けた具体的な行動を起こすべきです
    つき合っているパートナーがいないという人は相談所へ行く
    1年から2年以内に結婚すると決意し、
    真面目に結婚を考えている人たちと真剣にお見合いをするのです
    バツイチで、しかも子どもがいる女性を選ぶという手もあります
    躊躇する男性がいるかもしれませんが、そのような女性は人生の苦労も子どもを育てる大変さもよく知っていることが多いもの。
    それだけに自分たちの新しいパートナーを非常に大切にします
    30代後半の女性であれば、あなたとの間に子どもをつくることもまだ十分可能です
    「経済的に豊かでもないのに結婚なんてと考える人もいますが私から言わせれば自分の生活基盤、家庭を築くことは一番のリスク回避策なのです。
    一人だと何かと無駄な支出が多く収入も限られますが
    パートナーと頑張ることで新たな活路が開けます

    大きいのはパートナーの収入だけではなくその家族や人間関係も大きな力になってくれる可能性があること。
    配偶者の実家や兄弟の協力支援を何らの形で得られるかもしれません。
    今までの自分にはない新しい人間関係が広がることで、人生のさまざまな可能性と選択肢が増える。
    これは大きなことです。

    いずれにしても、そのような人格障害とはどういうものか、専門書や解説書などを読み、危険な人物を見極める目を持つことが大切です。
    「そういう人物は、最終的にはどうしても各部署から敬遠されてしまいます。
    下手に義侠心を出して、そういう人物を預かってしまうと大変なことになります。
    無責任で自己中心的な彼らの言動や仕事ぶりに振り回され、大変な労力を強いられたあげく、組織が崩壊し
    プロジェクトやミッションは不成功に終わってしまう。あなたがその責任をとらされてしまうことにもなりかねません。
    厳しいようですが、自己愛性パーソナリティ障害やサイコパスが疑われる人物はできる限り自分のチームから遠ざけることが鉄則です。

    「その東郷さんに対して、世間の毀誉褒貶はあると思いますが、直属の部下として思うのは、そのリーダーシップは非常に立派なものだったということです。
    当時は外務省の欧亜局長であり、在オランダ全権大使という立場でしたが、どんな若手の部下に対しても「さん」づけで呼んでいました。
    まして声を荒げたり怒鳴ったりすることなどありませんでした。
    仕事の仕方も命令口調ではなく、「佐藤さん、~のようにしたいのだけど、どう思いますか?」
    「どうするのがいいと考えますか?」と、あくまでも相談の形で投げかけるのです。
    東郷さんのような人に相談されたら、やはり部下としてもそれに応じたい、何とかしたいと思うでしょう。
    部下であろうと相手の人格を尊重し、ていねいに対応する。
    組織のヒエラルキーはあっても、それに甘えることなく自他の関係を構築する。
    そのような自律的な姿勢は、自分のなかに確固とした自信と自我がないとなかなかできることではありません。
    やはり尊敬できるし信頼できる上司であり人物であったと、今でも考えています。

    最も嫌われるのは「朝令暮改上司」

    もう一つ、避けるべきは朝令暮改です。コピーを大量にとらせてあとから不要だと処分させるなどはもってのほかですが、コロコロと言うことが変わる上司というのは、いつの時代も、どんな職場にもいます。そして、例外なく部下からはイヤがられる存在です。

    性格的、能力的に自分の考えや方針が定まらず、とりあえず部下に命令し、あとから修正していく人も少なくありません。
    そういう上司は早晩信頼を失っていきます。
    「本人の能力とも関係するのですが、仕事の仕方のタイプとして、その仕事の完成形をしっかりイメージしてから仕事を進めるタイプと、アウトプットがある程度出た段階で、次第に完成形をイメージしていくタイプの二つがあると思います。
    「アウトプットが揃わないと完成形がイメージできないタイプの上司だと、下が疲弊していきます。というのも、そういう上司は最初は間口が広いのです。
    「とりあえずやってみてくれるかな?」で仕事を振る。
    たとえば企画書をつくるという仕事があったとして、
    「とにかく思いついた企画なら、どんどん形にしてくれ」という頼み方をします。
    ある程度企画を出させておいて、やっぱりこれがいいとか、こんな企画書にしてくれとか、注文が出始める。
    部下は最初は注文も少なく、自由にやっていいというので喜ぶのですが、ところがどっこい、そのアウトプットを参考にして、ああでもない、こうでもないと細かい注文や修正が出始める。
    その修正を出すと、「うーん、やっぱりイメージが違うかな」などと、今度は別の企画案にシフトする。
    「そんなことなら、最初からその路線で、しかも必須要件や禁止事項などを示しながらできるだけ最短距離で仕事ができるよう指示してほしい。
    そう部下が考えるのは当然でしょう。
    でもこのタイプは意外に多いのです。
    あなたの周りにも何人かいるはずです
    朝令暮改にならないようにするためには、仕事の方向と完成形をしっかりイメージすること
    実は、これこそがリーダーにとって大切な能力であり要件だということもできます
    仕事の完成形をイメージできずアウトラインを描けない人物はリーダーとしての資格がないと言うことになります

    これから重要な予防医学の意識

    意外に大切になるのがの健康です。
    50歳をすぎると急速に歯が悪くなる。
    60歳になってから治療すると大変です。
    インプラントを入れると1本約100万円。 
    5本入れたら500万円。
    この金で高級車が1台買えます。
    40代、50代でしっかりケアしておけば6代でそれほどひどくはなりません。
    おすすめするのは、3カ月に一度くらいの間隔で医者に行って歯石をとってもらうこと。
    トータルな健康管理においても余計な治療費をとられないという意味でも歯を健康に保つということは非常に大切です
    これからは予防医学的な考え方が重要になってきます。
    病気になってから治療するのではなく
    病気になりにくい健康な体をつくるという考え方です。
    健康診断や人間ドック、歯石除去も予防医学の一つだと言えます

  • 『40代でシフトする働き方の極意』(佐藤優著/青春出版社)vol.445
    http://shirayu.com/blog/topstory/enlightenment/6733.html

  • 39歳。40歳を目前にして本書を手に取る。

    会社の競争社会でしのぎを削る生き方をすべきかどうかの基準は、40歳までに課長になれているかどうかと客観的かつ厳しい基準を示しており、あー自分はダメだな、と思わせつつ、競争から降りた生き方もいいよ、と言う本。

    今後の生き方についての考え方に視点を追加する上で参考になりました。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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