前作は衝撃でした。あの展開は呆気にとられた。
だから苑の気持ちもわかりますね、幸せになろうと思ったら地べたに叩きつけられて、ただでさえ元々自己評価が低いのに、もう一度あんなことがあったら…と考えてしまいます。しかし三つの事件がきっかけで苑は自分の気持ちを見つめる事ができ、腹が据わったようです。
自宅水浸し、近所のネグレクトされている子供、帰って来ない明渡。三番目はまたかと思いましたが、作中で明渡も言及してるという。
「攻めザマァ」とも「受けも焦らすのいい加減にしろ」とも多少感じたのですが、読んでいてどちらかだけに感情移入することもありませんでした。その辺が一穂さんの手腕でしょうか。
ネグレクトの子供が出てきた時はヒヤリとしましたが、そこまでべったり絡むこともなく、苑から人間らしい感情を引き出して去って行きました。
今作では人間らしい嫉妬や怒りを出して、前作のようにあっさり引くことをしなかった苑。 最後のプラネタリウムのシーンは胸がキュッとなりましたね〜。
良かった良かった、これに尽きます。