金融の世界史―バブルと戦争と株式市場―(新潮選書) [honto]

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  • honto ・電子書籍
  • / ISBN・EAN: 9784106037283

感想・レビュー・書評

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  • 金融、という視点からの世界史、という視点は初めてということで、大変得るものが多かった。個人的に今年のベスト3に入る良書。
    現代の金融工学と直接のつながりのあるヨーロッパが勃興した大航海時代以後と、それ以前のメソポタミア文明からギリシャ、中世のお金をめぐる契約の話と、大きく2つに分けられる。メソポタミアのタブレットがなんだか今のiPadを彷彿させたり、イスラム文化がその初期より数学に長け近代的なシステムを確立していたのには興味深い。
    また20世紀初頭には鉄道株が過半を占めていたこと。ヒト、モノの移動が富と覇権を産むんでいったこと(現代ではそこに情報通信が加わるだろう)
    白眉は日本が帝国主義のプレイヤーに参加して以降〜第二次世界大戦までの利害が絡む各国の金融の叙述。ヒトラーを生み出す第一次大戦後のドイツの金融政策の失策や日本の金融政策などは特に興味深く読んだ。

    著者は学者ではなく金融の現場の人。生き生きとした叙述は文才だけでなく、実際の現場を知っているということもあるのかもしれない。また日露戦争での日本の金融政策を描いた著作もあるので、こちらも読んでみたい。

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著者プロフィール

1955年、兵庫県西宮市生まれ。作家・コラムニスト。関西学院大学経済学部卒業後、石川島播磨重工業入社。その後、日興証券に入社し、ニューヨーク駐在員・国内外の大手証券会社幹部を経て、2006年にヘッジファンドを設立。著書に『日露戦争、資金調達の戦い 高橋是清と欧米バンカーたち』『金融の世界史 バブルと戦争と株式市場』(ともに新潮選書)。

「2020年 『日本人のための第一次世界大戦史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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