誘拐されたオルタンス

  • 東京創元社
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感想 : 2
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  • 楽天 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784488188030

感想・レビュー・書評

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  • 前作『麗しのオルタンス』のあとがきで続刊の原題が紹介されていながら年月が流れに流れ、今年の出版ニュースで出版を知って飛びついた。カバーイラストを同じご担当者で揃えていただいて嬉しい。

    まあ、前作があんな感じなので、今作もまあそんな感じです。スマートな一本道の推理小説を愛好するかたには「なんじゃこりゃ」的小説なんだろうけど、まあ事件も起こるし、謎もふんだんに盛り込まれているので、推理小説の基本は外していない。ただ、場当たり的展開に「バカだねー」と思わずにやついてしまうのみ。しかも<美青年>が山盛りで出てくる(登場人物のビジュアルを組み立てて小説を読まれるかたには、脳内パラダイスが展開するのではないかと思われる)し、盛り上がってきたところに歌が突然盛り込まれるしで、なんだか破天荒な愉しいミュージカルを読んでいるような趣がある。

    本作での新キャラが出てきていることは出てきているんだけど、意外にも前作からの引き続き登場キャラが多くて、「一貫性あるんだ」と思ってしまった。とは言っても、前作を全然知らなくても、読むには何の支障もない。私は前作から今作の終盤まで、登場する「ポルデヴィア」という単語を「ボルデヴィア」と勘違いして読み続けていたけれど、それでも何の問題もなかった。

    著者のルーボーさんは実験小説の分野のかたなので、ごくスタンダードな推理小説の翻訳ができるだけでは全く歯が立たないテキストだとは思うが、そこはフレンチミステリーの第一人者の訳と、ルーボーと数学にお詳しい小説界隈の第一人者の各サポート(訳者あとがきと解説より)がそれぞれかみ合って、字面以上の手間がむちゃくちゃにかかりつつ、そこを感じさせない軽みのある翻訳で楽しめた。はははと笑って読んじゃうのはもったいない気もするんだけど、読者というのはそういう気ままで気楽なもんなので、そこはお許しいただきたいと思う。

    で、あの彼はどうなるのかな。

  • 『麗しのオルタンス』の続編。
    巻末の訳者あとがきによると、前作が出てから8年経っているそうだ。そんなに前だったか……?
    『麗しのオルタンス』にしろ、本書にしろ、東京創元社からの刊行ということで、基本的にはミステリとして受容された……とは思う。尤も実際には純粋にジャンル小説とは言い切れない面もある。本書にも実験的な仕掛けが随所にちりばめられていて、しかも、それがちゃんと謎解きに関わっているのところが凄い。
    解説が円城塔というのもピッタリだと思う。

    ……それにしても、『麗しのオルタンス』の方は何処に仕舞ったんだっけか。

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