- 青空文庫 ・電子書籍
感想・レビュー・書評
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詩人の友人・金子からの電報を受け取った語り手は、金子の家を訪ねるが彼は自殺した直後だった。電報の暗号をたよりに語り手は金子の遺書をみつけ…。
内容はほぼ金子の遺書。幼いころから壁土を食べたり虫を食べたりしていた彼は、通常の食べ物を美味と感じることができず、あるとき自分の舌が「悪魔の舌」であることを発見する。さまざまな悪食の末、ついに彼が辿り着いたのは…
なんともいえない読後感。雰囲気的には夢野久作あたりが近い。オチの予想はつくのだけれど、いざそうなるとやっぱり背筋がぞっとする。奇作。 -
唇の印象の強い悪食の友人の物語。劣悪な家庭環境が、様々な欲求、愛の欲求や承認欲求などを、本能的に食欲へとつなげてしまったのだろうか。
中学生でこのような話を書くとは…。 -
ゆがんだ僕を見て!系自殺者手記型短編小説。カニバリズムのとりこになった主人公が「人肉最高!」「美少年がいたから食っちまったぜ(文字通り)!」とか友人に書置きしていくという。頼むから黙って死んでくれというのは言っちゃだめ。
こうした自殺者の遺書という体裁をとる小説といえば、だいたい「オレは不幸だ」「あそこでこうしてれば」「社会が悪い!」みたいな恨み節が長々と続くパターンが多い印象があるんですが、『悪魔の舌』はむしろ自殺者本人の嬉々とした想いがびんびん伝わってくるちょっと異様な印象です。最初と最後あたりなんかわが身の不幸を主張してるみたいですが、インパクトが薄くて、なんというか、「え、楽しかったならいいじゃん?」と言いたく……おっと、不謹慎か。
その辺も含め、物語としての構成は弱いものの、強烈なイメージとインパクトのある文章が印象的な一品です。食事中に読むのはお避けください。