老年 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 一中節というのは知らなくて、この小説を読んだ後に興味を持ち色いろと調べてみた。奥深い音楽性と共に奏者の中には波乱の人生を送った人もいるようで、こうした世界での風景なのかもしれない。隠居の房さんは芸事には通ぜず、遊び人としてもすでに体裁はなく、巷にはこうした世人がいたのだろうと思えてくる。

  •  昔はやんちゃだった爺さんは、流行話のなかで自分の時代は終わったのだと悟る。一人誰もいないところへ退散し、猫を相手にイケていた頃の自分を再演。小川の旦那と中洲の大将は、偶然にもそんな過去のカリスマの姿を目にしてしまう。静かな雪の音と相まって、晩年的な寂寥感を受ける短篇。
     器用貧乏が故に一見何でも出来る大人物に映るが、その実一本通ずるものを得なかったがため、輝かしい過去の栄光を眩しく憶い後悔を抱いている、といったようにも感じる。
     そんな房さんの全盛期を知る第三者が目撃してしまうことで、一生の儚さを表す、そんな”処女作”。

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