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- 青空文庫 ・電子書籍
感想・レビュー・書評
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芸妓である銀子の若かりし頃の回顧録。前半は娘、息子がいる男が中心となる描き方だが、後半の銀子の物語が印象深く残る。読み終えたときは、前半の男を忘れてしまった感がある。そうそう、男の名は均平であると、ようやく思い出した。
銀子のキャラクターは前に読んだ「あらくれ」のお島と似たところがあるが、銀子の方が品がある。当時の世相や家具調度品のつくり、さらに女性のこまやかな心情などが鮮やかに描かれ、一幅の絵を見ているかのようである。置屋で働く女性の逃げ場のない状況に胸が痛くなった。
未完であり、著者は銀子の回顧録をどこまで書くつもりでいたのだろう。芸妓という過酷な職業にあって、妾は絶対に嫌だと、自分の主張を貫く銀子を応援しながら読んでいた。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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