縮図 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 1
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 芸妓である銀子の若かりし頃の回顧録。前半は娘、息子がいる男が中心となる描き方だが、後半の銀子の物語が印象深く残る。読み終えたときは、前半の男を忘れてしまった感がある。そうそう、男の名は均平であると、ようやく思い出した。

    銀子のキャラクターは前に読んだ「あらくれ」のお島と似たところがあるが、銀子の方が品がある。当時の世相や家具調度品のつくり、さらに女性のこまやかな心情などが鮮やかに描かれ、一幅の絵を見ているかのようである。置屋で働く女性の逃げ場のない状況に胸が痛くなった。

    未完であり、著者は銀子の回顧録をどこまで書くつもりでいたのだろう。芸妓という過酷な職業にあって、妾は絶対に嫌だと、自分の主張を貫く銀子を応援しながら読んでいた。

全1件中 1 - 1件を表示

徳田秋声の作品

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×