わが青春 [青空文庫]

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著者 : 三木清
  • 青空文庫 (2007年2月6日発売)
  • 新字新仮名
  • 青空文庫 ・電子書籍

わが青春の感想・レビュー・書評

  •  三木清の大学時代の回想記。短い文章ですが、色々な人名が登場します。一流の人間は学生時代から一流の交友関係を持っているのですね。

    「大学時代、私は一年ほどかなり熱心に詩を作ったことがある。できるといつも谷川徹三に見せて批評してもらった」

     
     谷川徹三と詩を論じるとはすごい。三木清には詩の心得もあったのです。確かに、『私の果樹園』は見事な詩ですね。
     他、一燈園や大本といった歴史的用語も登場します。
      
    「変り者といえば、私の高等学校の同級生で、遅れて京都に来た小田秀人などその随一で、大学時代には熱心に詩を作っていたけれども、しばらく会わないうちに心霊術に凝こり、やがて大本教になったりしたが、なかなか秀才であった」

      
     小田秀人さんは詩人であり霊現象の研究者でもあり、著書も出されています。やはり一流の人は一流の交流関係があるのですね。
       
    「大学時代、私は書物からよりも人間から多く影響を受けた。もしくは受けることができた。そしてそれを私ははなはだ幸福なことに思っている」

      
    「当時の京都の文科大学は、日本文化史上における一つの壮観であるといっても過言ではないであろう。哲学の西田幾多郎、哲学史の朝永三十郎、美学の深田康算、西洋史の坂口昴、支那学の内藤湖南、日本史の内田銀蔵、等々、全国から集まった錚々たる学者たちがその活動の最盛期にあった。それに私が京都へ行った年に波多野精一先生が東京から、またその翌年には田辺元先生が東北から、京都へ来られた。この時代に私は学生であったことを、誇りと感謝なしに回想することができない」

    ↑このような記述を読むと私は本当にうらやましく思う。私もこのような学生生活を送りたかった。
     しかし現実には、中学3年から精神を病んで高校大学と、交友関係を結べないことは当然のこと、一人で完結できるはずの読書や学問や創作活動も何もかもできなくなってしまった。ただ生ける恥さらしとして他人に迷惑をかけながら生き、時間だけ空しく過ぎて人生から脱落していったのである。
     私には青春なんてものはなかった。ただ精神的に病んでいただけだった。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170810/p1

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