悪妻論 [青空文庫]

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  • 青空文庫
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  • 私が紹介する本は坂口安吾の『悪妻論』です。この本は世間一般から見た悪妻と良妻の一般的な型の有無、それを受けた坂口安吾の思う『悪妻』と『良妻』についての見解が述べられています。悪妻にこれといった型は無く、世間において称賛され、美徳とされている奥ゆかしい典型的な良妻の型こそが妻を縛り、拘束することで自由な魅力あふれるどんな良妻も悪妻たらしめてしまうのではではないか。心を惹くうちはどんな悪妻も良妻であるなど、亭主の見方次第ではないのかといった世間の見解とは少し異なった意見を発信しており、とても興味深く面白いです。夫婦の在り方についても論述されており、慰めあうよりも対立しあう方が多い、しかしそれこそがよい夫婦の在り方であり人生である。といい悪とされていることが必ずしも悪ではないことを説いています。失恋についてもよい事である、という点から模範的に生きるより少し奔放なぐらいが人は魅力的である、といった教訓が秘められているように思いました。また、現代にも通じることが多く、悪妻、良妻の定義にこだわらない、恋愛や結婚、夫婦についての論述は参考になるのではないでしょうか。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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