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- / ISBN・EAN: 9784150503918
感想・レビュー・書評
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筆者はイスラエル人であり、アメリカで大学の教授をしている人物である。専攻分野は行動経済学というそうで、人間の行動を合理的な基準ではなく、実際の行動から判断することを基本とする。だから、心理学で見られるような実験を数多く行い、その結果から立論していく。
本書によると人間の行動は周囲のさまざまな状況に影響され、そのあり方には一定の方向性があるという。その結果、われわれは自分の行動を自律的に決定しているのではなく、むしろ他人の影響のもとに決めているらしい。これを商業の方面で用いれば、われわれは見事にだまされてしまうというのである。例として挙げられているなかでもっとも印象的だったのはいわゆるおまけ商法というものだ。本来は価格操作に過ぎないのに、おまけがつくといわれるとつい余計に買ってしまうことなどは身近であり納得のできるものであった。ほかにも貨幣だと倫理観がはたらいても、その代替物だとそれが効かず、ついずるをしてしまうという笑えない実例もあった。
絶対的な世界の中心として考えられる自己が、実はかなり怪しいものであるという現代の自己観の具体例を示したものといえるだろう。
独特のユーモアのある文章が学術書としての敷居を低くしている。楽しんで読めるエッセイともいえる。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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