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センセイの鞄

狼皮のスイーツマンさんのまとめ

狼皮のスイーツマンさんのまとめ

ジャンル : / 小説・文芸

作成日 : 2013年1月20日

更新日 : 2013年1月20日

  •  ツキコさんは、文房具を扱う会社に勤務するOLだ。アパート一人住まいの三十七歳。モテないというわけではないのだが、交際相手がなんとなくしっくりあわず、適齢期を逃してしまった。そんな彼女の楽しみは、サトルさんをマスターとする赤ちょうちんの居酒屋だった。そこにゆくと、きまって、スーツ姿でかばんを持った老紳士が、カウンターに座っていた。たまたま隣り合ってみると、彼はツキコさんの過去を知っていた。なんとその人は、高校時代の先生だったのだ。
     先生は七十歳を越えた元の国語教師だ。奥方もいたのだが、変人で、あるとき男と逃げてしまった。息子は母親が嫌いで実家から遠く離れたところに就職し結婚し暮らしている。そんな老紳士を、ツキコさんは、先生ではなくセンセイと呼んだ。
     高校時代のツキコさんの担任というわけではない。不真面目な生徒でろくに授業を訊いてもいなかったようだ。カウンター横のセンセイは、教養人である彼の風雅な食しかたに対し、ツキコさんのややガサツな飲食のコントラストが絶妙だ。それでいて馬が合う。
     やがて、ご老体のお散歩への付き添いというような感じで、二人はごく自然に、居酒屋をベースに情緒ある場所でのデートを重ねる。はじめは飲み仲間という感覚だ。数か月あくこともあれば、連日のときもある。ところが、高校時代の教師・生徒の一部を合わせての同窓会のような花見の席で、当時人気ものだった美術教師が登場しツキコさんは嫉妬する。そのとき、たまたま、在学中一度だけデートをした同期生がきていて、洋風パブにゆく。嫌いなのではないが、どうも、しっくりいかない。
     そんなとき、センセイに、小さな島への旅行に誘われる。島には逃げた彼の元夫人の墓があった。また嫉妬してしまう。喧嘩というべきか、長い冷却期間となる。そしてツキコさんに、同期生が結婚を申し込んだとき、焦ったようにセンセイがデートに誘った。よほど慌てていたのだろう。いった先はパチンコ屋だ。
     二人はまた仲よくなって、恋人になった。三年の月日が経ち、センセイは他界する。遺族である息子から、遺言にあるといわれ、鞄を形見分けにもらい、それを開けたところで物語は、突然、終わる。
     鞄の中には、短い時間の中で二人がはぐくんだ素敵な思い出がぎっしりつまっていることだろう。

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