新着レビュー

ブクログで話題になっているレビューです。長文のレビュー、熱い感想を読んで好みの本に出会いましょう!

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詩のこころを読む (岩波ジュニア新書 9)

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書 9)

茨木のり子 1979年10月22日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

詩人の茨木のり子がその人生の中で出会い、印象に残った詩の数々を紹介し、何が自分のこころに響いたのかを振り返りながらそれらの詩の素晴らしさを伝えてくれる本。

主に戦後の日本の詩人が取り上げられているが、それでも非常にバラエティ豊かな詩が選ばれており、読めば多くの人が、自分にとって印象に残る詩、こころを動かされる詩が見つけられる本になっていると感じた。

言葉遊びもあるし、巧みな比喩によってものごとの見方を変えてくれる詩もある。また、自己を静かに見つめる詩もあり、社会のあり様に対して訴えかけるような詩もある。

詩の世界の幅の広さを感じられるとともに、筆者の触れている詩の数の多さにも、驚かされた。

各章は「生まれて」、「恋唄」、「生きるじたばた」など、テーマごとに構成されているので、詩だけを読むとアンソロジーにもなっている。

筆者自身の人生や日々の暮らしから感じられること、筆者がそれぞれの詩を詠んだ詩人の思いに共感している点などが個人的な語り口で書かれており、筆者と共に詩を味わっているような気持ちにさせてくれる。

また、方言や人称代名詞の使い方、詩のクライマックスに向けた構成の巧みさなど、詩人としての筆者が着目した点も書かれているというところも、興味深く読めた。詩の味わい方にも参考になるところが多かったように思う。

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もう一度、光の中へ(3) (カラフルハピネス)

もう一度、光の中へ(3) (カラフルハピネス)

YUYA マンガ 2024年4月18日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

エルミールの春の祭典が始まった。イシスのアイシャへの溺愛は変わらないし、皇帝と皇后だけではなく、祖父母もアイシャを可愛がっている。まさにピオンが言っているように仲の良い家族だ。その最中、イシスとアイシャが毒を盛られる。二人とも生死の境を彷徨うが、アイシャはアリサに戻るが、現世の両親、イシスの愛情を思い出して自分はアリサではなくアイシャであると受け入れて、還ってくる。それだけ両親やイシスから愛されているのだろう。そしてイシスを救うために中級精霊を召喚する。イシスは救われるのか、そして精霊使いの能力を知られたアイシャは?次巻も期待。

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体育館の殺人 〈裏染天馬〉シリーズ (創元推理文庫)

体育館の殺人 〈裏染天馬〉シリーズ (創元推理文庫)

青崎有吾 電子書籍 2015年3月13日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

とても地味な体育館という設定でここまで書けるのはすごい。

ありがちな「真面目なミステリー好きの高校生探偵」ではなくて、「頭脳明晰なアニメオタクの高校生」が探偵役。
探偵役は友達を救うために引き受けたのではなく、アニメキャラを購入するお金のためというユニークさが気に入った!

補助役に「どうして?」と聞かれても、「面倒だから教えない」と答えるあたりが、今までにない探偵キャラで好きになった。

次は誰が狙われるのか?というような緊迫感が全くないので、ドキドキ感が少し物足りなかったかな。
Audibleにて。

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買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて (文春文庫 や 62-1)

買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて (文春文庫 や 62-1)

山内マリコ 2016年3月10日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

伊勢丹、あんま出てこんやん!ってつっこみながら読む。同世代だからか、そうそうあんときそれ流行ってた!って大共感。大学進学で上京したとき、私も買いました、テレビデオ!今はTSUTAYAすら閉店ラッシュで、時代の移り変わりが物悲しい。ファッションブランドもそれね!っていうのばかりだった。今のリーズナブルで韓国風なオシャレじゃなくて、お金なくても背伸びした感じの服を買ったこと、リアルに思い浮かべる。
自分が選んだもので、自分自身が形作られている。(買い物を)おろそかにしてはいけない。御意。

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実験の民主主義 トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ (中公新書)

実験の民主主義 トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ (中公新書)

宇野重規 電子書籍 2023年10月25日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

諸課題を解決するうえでも、市民の声を聴くのが大事だという思いがある。民主主義というか、市民の活動が個人的に重要だと思っているが、それが”いい”のかは立ち止まって考えるべきだと思っていた。つまり、自分たちにとっていいことが全体としていいのかは分からない。その意味で、宇野の本を手に取った。理論的にそれでいいのかを政治学者の目線でも語っていないかと。
一言でいえば、それについては、複雑化された現在においては、実験的にやるしかないというスタンスといえそうに思う

そもそも全体として"いい"のか、なんらかの答え/正解があるとする思想は「合理的なシステムがあれば、社会がよくなる」といった19世紀ごろのベンサムらの考え方に端を発するらしい。当時アメリカ独立戦争やフランス革命において躍進しており、注目の的はもっぱら議会(=立法府)だったと。ただ、J・S・ミルは代議制統治論を書いたが、そこで、議会は合理的な決定をできるかは疑問だとしていたよう。
またその一方で、行政府の権威性がその裏で拡大していたと。
法律はすべての事象を書ききれない時点で、読み方や解釈が発生し、実質的にその実行者である行政府の権威性が高まる。その時々での判断や現場での決断がおそらく求められ、結果的に彼らのパワーが大きくなっているということのように思う。
つまり、注目度でいうと立法府が先行するものの、裏で行政府の権威が高まっていた。ここあたりで、現実と思想の間でギャップが生じ始めたと。この時点で、「全体として"いい"のか」議論はすでに形骸化していると読むのがよさそうだと思った。

GaaS(Goverment as a Service)は政府が上にある構造ではなく、市民が自由に動くためのプラットフォームであるという立ち位置であると記述されていた点は、今更すぎるが、割と認識を変えてくれた。
今の仕事もどちらかというと会社で意思決定をする上での諸々の支援をするような部署に所属しており、偉い人がいて、承認されたものを実行するような、言われたことを進めるような意識で働いていたが、現場がやりやすいようにする目的なのだと思うようになった。
この構造で見ると、かなり現場は自由といえる。むしろ上はなんとかする側の人にも思える。
事務の権威性というのを信じているようになった。
資料やデータは現場で作る、その上で意思決定がなされる。解釈や加工次第で、伝えるメッセージも変わるとすると、現場のパワーも大きいと言えるのではないか。今まではそれが妙に不安に思っていたが、むしろそこが力だとみなすようになった。

政治においても実はもっと自由なんじゃないか。事務、実際の現場の声による操作ができるといえる。し、そこが割と希望に思える。GaaSという概念もなるほど、声をもっと拾える仕組みであると。これまで、紙のアンケート等で行ってきた市民の声の拾い上げ、目安箱は結局そこからがブラックボックスになっていて、自分たちの声がどうなったのか見えなかったのだとすると、プロセスの可視化によって、現場をエンパワーすることであり、紙だと不正もできただろうが、それを無くす意味では力の正当性をテクノロジーによって担保する。ただ、このとき大事なのは、その自由を行使しようとする、つまり政治的な営み自体を盛り上げるというか、積極的なかかわりをもたらすものとなる。ファンダム、特に自分たちで勉強会や推し活のコミュニティにおける裏技の教えあいなどにその可能性を見ると。

やりたいことをまずやってみることが何よりも先に来る。それがこの本でいう実験の民主主義であるといえる。なんとなく昨今の政治現場が現象としてまずいみたいな話ではなく、やりたいのに、これができない、これがやりづらいといった今この瞬間の課題をちゃんと気づく、認識する。や... 続きを読む

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サクラ大戦 (漫画版) 全9巻完結セット(マガジンZコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

サクラ大戦 (漫画版) 全9巻完結セット(マガジンZコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

マンガ Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

自分には合わなかった。
タイトルは知っていて、
以前にはやっていたことあったなと思い読んでみたが、
はまらなかったので、
5巻くらいまで読んでやめた。
記録用。

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むぎばたけ (日本傑作絵本シリーズ)

むぎばたけ (日本傑作絵本シリーズ)

月夜のむぎばたけに集まってさあ何が始まるのかな⁈

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あそびあそばせ 14 (ヤングアニマルコミックス)

あそびあそばせ 14 (ヤングアニマルコミックス)

涼川りん マンガ 2022年11月29日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

続編「アウトサイダーパラダイス」に繋がるらしい異様さがとても好きになる

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写真でわかるはじめての小学校生活

写真でわかるはじめての小学校生活

笹森洋樹 2014年9月25日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

執筆者/保科泉、水谷朱里、原みゆき、近藤春樹、松原晴美
イラスト/黒崎玄
装幀/佐藤健+六月舎
本文デザイン/岡田恵子(ok design)

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詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

森博嗣 1999年11月12日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

タイトル通り、私的で私的な物語だった。
難しい表現多めだったけど面白かった。
夢と希望の違いはなんなのでしょうか。
しばらく考えようと思います。

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言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書 2756)

言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書 2756)

今井むつみ 2023年5月24日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

 

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天使の屍 (集英社文庫)

天使の屍 (集英社文庫)

貫井徳郎 2009年2月20日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

いやはや、見事な結末でした~
優馬の父の執念が実ったというべきでしょう。
なんでもやってみないと、実は結びませんね。

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ジョジョの奇妙な冒険 第9部 ザ・ジョジョランズ 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ジョジョの奇妙な冒険 第9部 ザ・ジョジョランズ 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

荒木飛呂彦 電子書籍 2024年4月18日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

う~ん、微妙。。。

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謝るなら、いつでもおいで

謝るなら、いつでもおいで

川名壮志 2014年3月26日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

この事件自体、真相(なぜ加害者が犯行に及んだのか)がよく分からないまま結審を迎えているので、ルポにしても目新しい情報は出て来ないし、よくある「取材攻勢の裏側にある被害者・加害者家族の物語」になってしまいかねない部分はある。

被害者家族に近い立場にある著者の目線で進んでいく前半部分は、ルポにしては妙に叙情的な言い回しが気になり、もう少し淡々と端的に書いてくれたほうが読みやすいのに、と思ってしまった(渦中にいた方に対して意地悪な言い方ではあるけれど)。

読み応えがあったのは、被害者のお兄さんの独白の部分。

大切な人を失った瞬間の現実味のなさ、自分自身というより家族に対する思いから働いてしまう防衛機制、事件について誰からも触れられないことで逆にやり場を失ってしまう悲しみや喪失感、時間を隔てて襲ってくる混乱、無力感、心身の不調。

生前の被害者と加害者の関係や、これからの被害者家族、加害者、加害者家族の生き方についての見方や考え方は、当時中学生だった彼だからこそなのか、事件について考え抜いてきた彼だからこそなのかは分からないが、真相不明の事件に対して投げやりに出した結論ではなく、彼自身が築き上げた筋の通った結論のように感じ、舌を巻いた。

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ファーストラヴ (文春文庫)

ファーストラヴ (文春文庫)

島本理生 電子書籍 2020年2月5日 Amazon.co.jpで見る Amazon.co.jp

 まず、環菜が性虐待を受けていたことについて、序盤からほのめかされていることではあるし、性被害を受けているかどうかを関心を向けるべき「謎」とすること、「ネタバレ」という扱いをすることにはものすごく抵抗がある。よって、帯の文句や解説など「売り方」の面で疑問はある。

 しかし、小説の内容自体は素晴らしいものだった。『ファーストラヴ』という題が何を示しているか、環菜にとっての「ファーストラヴ」がどのようなものであったかを考えるとあまりにもおぞましい言葉のようにも思える。
 環菜の初恋は12歳のとき、当時コンビニでアルバイトをしていたお兄さんだった。環菜が「恋愛で一番いい思い出だった」と語る記憶を辿ると、大人の男性に性的なまなざしを受けることに慣れてしまった少女の痛ましい姿が浮かび上がる。
 守られるべき子どもが正しく守られず、搾取され続けることへの怒りが強まった。環菜に存する痛みというものは、決して環菜だけのものではなく、由紀にも、環菜の母親にも、これを読む「私(たち)」のものでもある。そして、環菜と同じように、私たちにも意思と権利があり、それは声に出してもいいものである。
 この「ファーストラヴ」を環菜自身が解釈しなおして前を向くこと、まだ浮かび上がらぬ苦しみに名前をつけるという救いこそが、本作品における題の意味なのだと思った。

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