文藝賞とは

文藝賞はたえず文学シーンに新しい才能を送り出してきた、新人作家の登竜門。
これまで、田中康夫「なんとなく、クリスタル」、山田詠美「ベッド タイム アイズ」、星野智幸「最後の吐息」、鹿島田真希「二匹」、綿矢りさ「インストール」、白岩玄「野ブタ。をプロデュース」、山崎ナオコーラ「人のセックスを笑うな」、青山七恵「窓の灯」、磯﨑憲一郎「肝心の子供」など、数々の話題作・ベストセラーを送り出してきた。
時代を照射する作品、文学を牽引する作家、さらには後の芥川賞・直木賞作家となる才能を、続々発掘している。

選考委員

藤沢周

保坂和志

星野智幸

山田詠美

今回の受賞作

死にたくなったら電話して

李龍徳

「死にたくなったら電話してください。いつでも」

空っぽな日々を送る浪人生・徳山は、ある日バイトの同僚に連れられて十三(じゅうそう)のキャバクラを訪れる。そこで出会ったナンバーワンキャバ嬢・初美から、携帯番号と謎のメッセージを渡され、猛烈なアプローチを怪しむも、気がつけば、他のことは何もかもどうでもいいほど彼女の虜に。殺人・残酷・猟奇・拷問・残虐……初美が膨大な知識量と記憶力で恍惚と語る「世界の残虐史」を聞きながらの異様なセックスに目覚めた徳山は、やがて厭世的な彼女の思考に浸食され、次々と外部との関係を切断していくのだが——。ひとりの男が、死神のような女から無意識に引き出される、破滅への欲望。全選考委員が絶賛した圧倒的な筆力で、文学と人類に激震をもたらす現代の「心中もの」登場!

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  • アキウさんのレビュー

    サンプル版の懸賞にあたったので読みました。人生にうんざりしてきた浪人生が、猟奇(趣味)的な彼女に出会ってゆるやかに破滅していくという話。ひたすら後ろ向きな話が、くどくどとこれでもかと繰り出されるので、ずんずんと暗い気持ちになったり、若気の至り的な極端思考にイライラさせられたり、とても感情が揺り動かされる小説でした。行間を味わう余裕もあたえず、太く過激な描写が次々と押し寄せてくるので、圧倒されっぱなしであった。こんなむちゃくちゃな悪意や諦念に心動かされるなんて…。くそう、面白いじゃないか。

  • kasumin55さんのレビュー

    献本企画で当選し、読みました。
    紙面なのに、映像を見ているかのような圧倒的な描写に背筋が寒くなりました。
    正直、読み進めていくのはとても勇気がいり、しんどかった。なのに、読まずにはいられない。。。

  • 永嶋さんのレビュー

    献本企画にて。初美というキャラクターが強烈。徳山に寄り添っていくようで本当は全く必要となんてしていないんだろうなあ。教祖となるのはこういう人間なのかもしれない。なんというか、思考から支配していく感じ。でも初美自身は無自覚なのかも。最後の「在日」発言は暗示を解くようだった、夢想の世界から現実に引きずり落とすような展開に驚嘆。文章はとても読みやすくて、途中で長いと思ったけど、振り返るとセンテンスが明解でわかりやすい。何をどう書き換えたのか気になるから改稿版を読んでみたくなった。

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アルタッドに捧ぐ 金子薫

「本間は、作中で少年の死体が発見された今日この日まで、少年が死を選ぶなど、露ほども考えてはいなかった」

大学院を目指すという名目のもと、亡き祖父の家で一人暮らしをしながら小説を書いている本間。ある日、その主人公であるモイパラシアが砂漠で死んだ——彼の意図しないところで。原稿用紙の上に無造作に投げ出された少年の左腕。途方にくれながらも本間が、黒インクが血のように滴る左腕を原稿用紙に包み庭に埋めようとした時、そこから現れたのは少年が飼育していたトカゲの「アルタッド」だった……。幻想的かつ圧倒的にリアルな手触りを持つシームレスな小説世界と、その独自の世界観を支える完成された文体、そして「書くこと」の根源に挑んだ蛮勇に選考委員が驚愕した「青春小説」の傑作誕生!

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  • 恵陽さんのレビュー

    献本企画にていただきました。
    突拍子のない始まりから続くリアルの物語。正直あらすじを読んだ時からこれはどういう意味だろうと思っていたのだけれど、本当にそのままの意味だった。作中で死ぬはずのなかった人物が死ぬという不可思議な事態に陥るのは面白い。現実にはありえない非現実性が逆に魅力に思えた。
    固有名詞に少し引っ掛かりは覚えたが、文章は読みやすい。アルタッドに対する思いが溢れていて、思わずトカゲ飼いたくなった。
    しかし現実にはありえない現象である。不意の出来事で筆は止まり、書くことは頓挫した。その代わりにアルタッドの世話を焼くがそれでは前に進まない。やる気がうすく、現実を直視したくなくて逃げる言い訳を探している。
    「書くこと」それ自体は少しでもしたことがある人なら完結させることの大変さがわかるかと思う。言い訳を探して書かないことなんざ、日常茶飯事。気分が乗らない、夢見が悪い。箪笥の角で小指をぶつけた。さまざまな言い訳ができる。けれど書き上げることができたなら、そこには奇妙な高揚感がうまれるだろう。主人公は書くことではなく描くことで、その気持ちを思い出したように思う。
    迷子たちを再び物語のなかに帰してやる、という表現がなんともその気分の高まりを表しているようにも思える。

  • azzurro20さんのレビュー

    成熟した文章表現とあまりに幼い主人公の思考とのアンバランスさ。主人公は学生なのだから考え方が幼くても不思議はないのだけれど、計算されてのことだとするとすごいな、と。自分の創作した世界の顕在化は創作する者にとっては一度は夢見ることだと思う、それを或る意味で実現させたわけですね。
    ”書くこと”に対する考え方にはあまりに関しては、なんだか十数年前の自分の日記を読み返しているような気恥かしさがあった。それを踏まえて10~20年後、アルタッドと本間のその後を書いていただきたい。

  • アキウさんのレビュー

    サンプル版が懸賞にあたったので読みました。小説が書けなくなってしまった主人公が、なぜか小説から具現化してきた、トカゲのアルタッドと一緒に暮らしつつ、書くことについて思い悩むだけの話。アルタッドがとにかく魅了的で、最高のトカゲ萌え小説でした。アルタッドと主人公の、のんびりした生活だけを書いてくれればよかったのに、と思ってしまったほど(暴言)。天性の文章力があるのではないか。小説としては、正直、ここからが始まりだろう、というところで終わっているので、今後に期待でしょうか。ホント、次の作品どうするんだろう…。

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