東日本大震災で被災した日本製紙・石巻工場の奇跡の復興劇『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』を友達にシェアしよう

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「この工場が死んだら、日本の出版は終わる…」絶望的状況から、軌跡の復興を果たした職人たちの知られざる闘い

東日本大震災で被災した日本製紙・石巻工場。機能は全停止し、従業員でさえ復旧は無理だと考えた。しかし社長は半年での復旧を宣言。その日から彼らの戦いは始まった。

様々な出版用紙を生産するN6マシン (写真:野口博)

「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときは、この国の出版が倒れる時です」

—— 2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に飲みこまれ、完全に機能停止した。 製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。 しかし状況は、従業員の誰もが「工場は死んだ」と口にするほど絶望的だった。 にもかかわらず、工場長は半年での復興を宣言。

その日から、従業員たちの闘いが始まった。

  • 2011年3月11日15時47分、津波襲来直後の石巻工場正門前

  • 震災翌日の工場内には流れ込んだ瓦礫などが散乱していた

食料の入手は容易ではなく、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は、困難を極めた。 東京の本社営業部と石巻工場の意見の対立さえ生まれた。 だが、従業員はみな、工場のため、石巻のため、 そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。 震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材した傑作ノンフィクション。

『紙つなげ!』の舞台、日本製紙石巻工場とは?

日本の出版用紙の約4割が日本製紙で作られ、石巻工場はその基幹工場として、1日あたり約2500トンもの紙を生産。

日本製紙石巻工場で作られた代表的な作品
  • 百田尚樹『永遠のゼロ』(講談社文庫)
  • 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)
  • 池井戸潤『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社)
  • 尾田栄一郎『ONE PIECE』(集英社)など。

『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』著者 佐々涼子さんからのコメント

紙づくりの現場では、マシンに繊細な紙を通すことを、「紙をつなぐ」と言います。作品のタイトル、「紙つなげ!」には、東日本大震災を乗り越えて読者に紙をつなぐという意味をこめました。この本は、紙作りの現場に対する早川書房のみなさんの感謝と尊敬の念から企画され、石巻の想い、被災地の想い、日本製紙で働く人々の想いをのせて、たくさんの人々の手を経て、読者に届けられたものです。ぜひ、本一冊の中にある愛情と技術を知ってください。きっと明日から、もっと読書が幸福に満ちたものになるでしょう。

そして、今、この本が生まれたことは、時代と無関係ではありません。この作品は書店のワンシーンから始まり、再び現実の書店に戻ってくるという構造になっています。出版文化について、みなさんに今一度、考えてもらいたい。そういう気持ちもこめています。ひとりでも多くの方に、ぜひ読んでいただきたいと願っています。

佐々涼子(ささ・りょうこ)

1968年生まれ。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経て、ノンフィクションライターに。 新宿歌舞伎町で取材を重ね、2011年『たった一人のあなたを救う 駆け込み寺の玄さん』を上梓。 2012年『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。

本の売上の一部を石巻市の小学校の図書購入費として寄付される『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』を友達にシェアしよう

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紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

著者 : 佐々涼子 / 早川書房

絶望的状況から、奇跡の復興を果たした職人たちの知られざる闘い
第10回開高健ノンフィクション賞『エンジェルフライト』著者、待望の新作!
本書売上の3%を、公益社団法人 全国学校図書館協議会を通じて石巻市の小学校の図書購入費として寄付いたします。

書店員さんのおすすめコメント

マルサン書店仲見世店 小川誠一さん
「本が売れない」時代に「紙の本はなくならない」という言葉の意味が幾重にも絡み付いてくる気がします。
明林堂書店大分本店 前畑文隆さん
一気読み、素晴らしかった。何度となく目頭が熱くなり、最後には我慢していたものが溢れ出してしまった。
紀伊國屋書店新宿南店 竹田勇生さん
「かわいそう」っていう気持ちは的外れなんでしょう。暗い方に引っ張られた何かが残るんじゃなく、明るい方に背中を押してくれる一冊だと思いますから。
文教堂書店北野店 若木ひとえさん
力のある作品です。紙をつなぐリレーの最後が、読者のあなたの手元にあるその本ですよと伝えたい。

『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』の担当編集者からのコメント

喫茶店で読みながら、涙が止まらなくなった一場面を。震災から2週間。「石巻工場は、もう復興できない」「日本製紙は石巻を捨てる」などの噂が飛び交っていました。復興か否か。そんな工場構内に、日本製紙の芳賀社長が初めて入ったとき、社長は誰にでもなく、ポツリとつぶやきます。「さて……希望の星に会いに行こうか」希望の星とは何なのか。なぜ、そこまでマシンに愛情を持てるのか。その答えはぜひ本書で確かめてください。

  • ※使用されている写真は日本製紙株式会社石巻工場によって撮影されたものです。(別途、撮影者を記載しているものは除く)
  • ※『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』の本文と口絵は、日本製紙石巻工場で製造された紙を使用しています。
  • ※当面電子書籍化の予定はございません。
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