園さんの本棚»
毒か薬
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前作同様、少年二人が事件の真相を怖いくらい凝視する話。見つめすぎた挙句、見なきゃ良いものまでうっかり直視しちゃって、二人して傷付いてしまう。傷心の二人が、不器用に痛みを隠す仕草が胸を打つ。
2010年04月19日
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突如ある一家を襲う五億円遺贈事件。様々な情報や感情、人々の思惑が交錯する中にあって、少年達だけが遠くおぼろげに漂っている事件の真理を真っすぐ見つめている。
2010年04月19日
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抑制がきいている文章である。過剰な情感や思考の暴走もなく、物語後半の山場さえあっさりしている。太っちゃんが最後まで守り通した秘密とは何だったのか。そんな当たり前の謎を煽る一文すら見当たらない。盛り上がりどころを掴めずに最後まで観てしまった映画のようで、なんとなくスッキリしない読後感である。
2010年10月04日
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本書を読むのに想像力は必要無い。あくまでストーリテリングの面白さ、これ一本で最後の一行まで読者を引っ張って行く。身勝手な自分語りのつなぎ合わせが、ある不条理な悲劇の整合性を取っていく皮肉。
2010年06月23日
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幼い愛の起伏と、二人を取り囲む島の自然がシンクロする刹那、また乖離する無常さ、そこに文学がある。二人の若い五感には、森羅万象全ての事象を、ドラマティックな性質のものに変換していく力がある。ただ、そんな力も遠く及ばないものが唯一つ存在する。不可侵の海。三島の海。
2010年06月18日
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神の裁きも救いも忘れて生きている人々。腐敗している教会や司祭。そんな時代に絶望しながら生きる主人公の小説家は、遥かなる古きよき時代を想う。中世フランス。その時代には神秘主義や悪魔信仰があった。占星術、魔術、呪詛といった超自然的現象が起こった。人は神を敬い、時には恐れ、時には冒涜した。信仰心と背徳と倒錯が隣り合わせで存在していた。そんな時代が生んだ稀代の大量異常殺人者・ジル・ド・レイ。小説家は、ジルが見た神を、狂気を、快感を、神秘を、想像する。
2010年05月07日
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後半はかなりのご都合主義。特に主人公の血統に関する設定は、必要無かったように思う。墓に施された装置や仕掛けが大掛かりになればなるほど、陳腐に感じてしまうのが残念だった。なにはともあれ、この作品を映画化したら大層な娯楽作品になるだろう。
2009年05月26日
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インディ・ジョーンズ的な歴史浪漫謎解きエンターテーメント。頭が良くて身体能力にも優れている登場人物達が、キリスト教や聖書の薀蓄を垂れながら、銃撃戦を繰り広げたり、秘密の暗号を解読していったりする。飛行機の座席に付いている小さいモニターで洋画を流し見ている、あの感覚。しっかりエンターテイメント小説としての仕事をしている。
2009年05月26日
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叔父の手記(日記?)に入ってからやっと面白くなる。作品を制作する上での苦悩、所謂「生みの苦しみ」も含めて、一つの小説に仕上たということなのだろう。私は、「生みの苦しみ」は作品の中では隠しきってこそ、作家だと思う。そういう意味では、前半はあまり気分の良い文章ではなかった。
2010年05月06日
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事件の外殻だけを提供して、その内側を嫌らしい、残酷な想像で埋めていく過程は、なんという快感だろうか。知的探究心と性が結合したこの誘惑に、私は逆らうことができない。主人公は、この想像する快楽の道具として、多くの人の前に存在する。そのことに傷つき、絶望する一方、自らも想像の快楽に没頭していく。世間は被害者の少女を想像し、少女は加害者を想像し、加害者もやはり少女の想像に耽るのである。この終わりのない螺旋の先で、想像の先で、主人公が何を思って失踪に至るのか、私には検討もつかない。しかし、彼女の失踪の理由でさえも、私の想像を艶やかに育む事象でしかないのである。
2010年04月27日
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学生時代、シスターから「一人一人の中に神はいます。沈黙の中で神の声に耳を傾けなさい。」と言われた言葉を思い出す。あの頃、毎朝礼拝をしていたけれど、私には結局一度も神の声は聞こえてこなかった。ただ、神の不在という存在感は圧倒的であった。神の存在を疑うこと、これこそが他の何よりも神の存在を証明しているように思えてならなかった。
2007年12月21日
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感情を乗せ、血肉を吸い、歴史を背負った言葉が相手に届かないはずがない。そういう言語表現が、人を救ったり慰めたりしないわけがない。フィジカルな言葉の勝ち。そう思えるラストだった。
2010年04月15日
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