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なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)についてのさえいさんのレビュー


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今までで印象に残ってきた本

レビュー by さえいさん

興味   読み終わった  読了日 : 2010年09月13日  5  登録日: 2010年09月09日

犯人逮捕の時点から、光市の母子殺害事件は死刑賛否論と嫌でも結びついてきた。死刑廃止の声も出るなか、死刑の是非を問う上で、この事件は非常に重要な材料として扱われる。

しかし、この本は、死刑の賛否が常に付きまとうこの事件を、その議論から一旦切り離してくれる。
事件を単なる死刑賛否論の一材料として扱わず、事件自体を中心に据えて、事件発生から犯人逮捕、報道内容、裁判内容、本村さんが疑問を抱くようになる司法などを描いている。
そこからみえる、事件に関わる人のもつ、死と死刑と罪という関係の捉え方が、私にとって最も印象強いものだった。
これについては、自分の価値観と照らし合わせながら読むことで、自分の考えがより整理できたことが、私にとって非常に大きい。

上で述べた、死と死刑と罪という関係の捉え方以外にも人と人との関係のなかで、重い言葉がいくつもあった。
「労働も納税もしない人間が社会に訴えても、それはただの負け犬の遠吠えだ。君は、社会人たりなさい。」
何かを主張する時には、その責任を果たせる身分を持っていないと、いくら正論であっても訴えが響きにくい。主張はその内容だけを評価されるのではなく、それが生まれるに至った背景や、主張している人間も合わせて評価される。
それゆえ、背景や主張する人間の点で落ち度を指摘されれば、それによって内容が薄いものになってしまう。
この言葉は本村さんに上司の日高さんがかけた言葉だけれど、主張の正当性だけを重視しがちな私にとって、それを諌められているような気になった。

長くなったが、以上の二点がこの本を読んで、自分が特に強く思ったことである。 レビュー登録日 : 2010年09月14日


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