レビュー by やまみさん
ノンストップで物語が終息したという感じです。言いたいことはいっぱいあるんだけど、この巻の注目は、なんと言っても、ハチクロ級の“みんな片思い”の結末でしょう。福井さんの作品で、1つの物語の中にいくつもの愛の形を描いたのは珍しいので、やたらと気になってしまいました。しかし、それらの多くが一方通行というかすれ違っているというか、伝えたい気持ちが伝わらない、相手の気持ちに応えられない、のです。“こんなにあなたのことを思っているのに、どうしてあなたは私のことを受け入れてくれないの?”そんな声にならない声が、文章から聞こえてくるようです。こうやって書くと、ただのわがまま、エゴだなと思ってしまいますが、愛なんてそんなものなのかもしれません。そして、戦争も、平和も、みんなそう。相手の気持ちなんて全部わかるわけないのだから、たとえそれがエゴだとわかっていても、一方的に自分の気持ちをさらけ出すしかない。そう考えたとき、物語中で一番感情を露にして自分の思ったことを言っていたソシエに、この結末があって良かったと思いました。この巻で好きな言葉は、“「愛されたい」と同義語の「役に立ちたい」。”うっ……、身に覚えが……。 レビュー登録日 : 2008年05月21日
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