ダイバー漂流極限の230キロ (新潮OH文庫 21)

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  • 新潮社 (2000年10月1日発売)
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25年前に新島の北5キロにある鵜渡根で、潜水しながら水中銃でハンティングをしていたダイバーのうち1人が漁に夢中になるあまりバディとはぐれて黒潮に流され漂流、56時間後に銚子沖で漂流しているところを近くを通りかかった漁船に救助されたという話(日本ではスペアフィッシングはすべて禁止されている)。本書によると「海難者のほとんどが救命ボートに乗って、食料や水に恵まれてなお、2日目か3日目に絶望から発狂し自殺にいたるというパターンが国内のみならず海外の海難者に共通する記録」だそうなので直接海に身体を浸けたまま3日目になって生還したというのは奇跡的なことらしい。助かった秘訣は、読むかぎりラッキーだったというほかはなく、それと本人がとても前向きで楽天的な「南国気質」だということも56時間の漂流に耐えさせたと示唆している。ただしそういう気質の人は事故にも遭いやすいのではないかとも思うけれど……。著者自身ベテランのダイバーでダイビングの事故を防ぐための本を書いているらしく、潜水事故の背景や海の話がいろいろしっかり解説されていておすすめ。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 海など
感想投稿日 : 2008年7月31日
本棚登録日 : 2008年7月31日

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