本屋、はじめました: 新刊書店Title開業の記録

著者 :
  • 苦楽堂 (2017年1月24日発売)
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本棚登録 : 728
感想 : 57
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時間と経験と関係性の蓄積

誰でも一度は憧れるんじゃないかと思う「本屋」。
かくゆう自分が、そうだ(現在進行形)

大好きな本に囲まれた空間で仕事ができて、
仕事で本が読めて、
なんなら著者や編集者と知り合いになれて、、、。

そんな淡い妄想を抱きつつも、
それが現実ではないことは自覚しているつもり。

では、実際に個人の本屋さんは
どんな日常を送っているのだろうか。
この本を読めば、それがバッチリとわかる。
こんなに具体的な数字がでてくるなんて、驚き以外ない。
これから本屋さんを開きたい人にとっては、
超重要参考資料になることは間違いない。

でも、ハウツー本では全然ない。
一つ一つ、丁寧に物事に向き合いながら、
いかにして荻窪のTitleはできたのか、
その様が淡々と語られていく。

辻山さんは、本の中でも
本屋が素晴らしいものだとは間違っても伝えたくない
という意味合いのことを言っている。

これまで積み重ねて来た経験と、時間と、関係性、
これらがなければこの本屋さんは誕生し得なかったんだな、ということがしっくりと伝わってくる。

初めてtitleに行った日にこの本を買って、
(なんとなく、ここに足を運んで購入しなければならない本だと、勝手に神格化していたため)
その時は辻山さんを知らなかったので
あとでレジをしてくれたおじさん(ごめんなさい!)がそうだとわかって、声をかけられずとても残念で、
やっと今読み終わって、
本当に読めてよかった。

これから、個人事業主として歩き出そうとしている自分の背中を押してくれるような、叱咤激励してくれるような、そんな温もりのある、思い出に残る本になった。

積み重ねの地の上に、
しっかりと足をつけて暮らして行かなければ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス(実務)
感想投稿日 : 2017年11月9日
読了日 : 2017年11月9日
本棚登録日 : 2017年11月9日

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