南総里見八犬伝 5 (岩波文庫 黄 224-5)

  • 岩波書店 (1990年7月16日発売)
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感想 : 3
4

毛野、新兵衛以外の六犬士が、狸穴(まみあな)で何らかの妖怪と戦う話。
なので巻のはじめに、狸穴の狸とは何かと考察を述べています。
馬琴は穴居性のムササビではないかと言っていますが、そうかなあ?
ムササビの老大なものをモモンガというと言っていますが、そうかなあ?
今とは違う動物のことをそう呼んでいたのかもしれませんが、やっぱりぴんと来ないので、脳内では狸でイメージして読みました。
現在の東京のど真ん中に狸穴という字をもつ地名があるのが、まずもって愉快だし。

そしてとうとう毛野が登場。
彼の仇討計画を盗み聞きした道節が、自分の仇討も実行してしまう。
毛野の仇と道節の仇が敵同士なので事態はややこしくなるのだが、誤解は解けて、毛野も六犬士と合流。
道節は仇のとどめを刺さずに終わるけれど、とりあえずこの件は一件落着。

そんなことよりも、何度も何度も悪い男と結婚しては悪事の限りを尽くしてきた船虫が、とうとう犬士に捕まって殺されてしまった。
彼女は確かに残酷無道の悪女だけれど、追われて逃げても強かに、姿を変えて悪に手を染めるその根性はなかなかに見ごたえがあったので、なにやら少し淋しい気がします。
しかも犬士達によって縛り上げられたところを、生きたまま何度も何度も牛の角に引っかけられて死ぬなんて、犬士達もずいぶんと残酷じゃありませんか!

そして時代は少し戻って、里見家を再び襲う災難の話。
の前に近江の伊吹山を根城にする盗賊の話から。

この盗賊団が不思議な声の発現によって壊滅させられ、親分の息子が紆余曲折の後、館山の城主に成り上がる。
名前を蟇田素藤と変えたこの強盗上がりの男は、里見義成の五女・浜路姫(子供の時鷲にさらわれたが、信乃と道節の働きにより親元に帰って来た)と結婚させろと義成に言うも、断られたのを逆恨みして義成の長男・義通を人質に取るという暴挙に出た。

さて、どうする!

ここで、ついに「八犬士の随一」と言われる犬江新兵衛が再び登場してこの巻は終わる。

まだ五巻。
巻数的にはちょうど折り返し。
実に八犬伝の半分は八人が揃わない話であったのだなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年8月18日
読了日 : 2016年8月18日
本棚登録日 : 2016年8月18日

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