娼年 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2004年5月20日発売)
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本棚登録 : 11719
感想 : 1250
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これはちょっと合わなかった。
大学にも行かず、バーでバイトをしながらも、退屈な毎日。冷めた目で周囲を眺めている傍観者。
そんなリョウが、金のためではなく、「いろいろな女性の不思議や欲望の不思議」を目の当たりにして、この世界でやっていこうと思うに至る心の動きが全く分からない。

いかにもいかにもな女性たちの不思議や欲望の不思議。
それのどこが、彼の心をどのように動かしてこうなったのかが、全然見えない。

そもそもリョウのどこに売れっ子になる要因があるのかもわからない。
客の要求を笑顔で受け入れるというのはサービス業の基本なわけで、リョウの行動のどこがそんなにほかの人と比べて特別なのかを書くことなく、登場人物が口々に「彼はいい」「彼は特別」と持ち上げる様は、朝ドラのヒロインを見ているようで気持ちが悪い。

誰も成長しないし、誰も壊れない。
何を読み取ればいいのか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年5月31日
読了日 : 2016年5月31日
本棚登録日 : 2016年5月31日

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