去年映画を見て、すごく好きな作品だなぁと思ったので原作も読んでみた。
実に小説に忠実に映画化されていたんだということがわかった。
毎日をゆっくりと、丁寧に、濃密に暮らしていく二人の姿はとても好感が持てて、「ああ、私はこういう生活をしたいんだよなあ。」と、何度も思う。
とてもセンシティブなツマに対して、必要なときに必要な言葉をかけることができるムコさんは、とても大人だと思えるのだけれど、ムコさんはムコさんでツマの存在に支えられていて、ツマの不在を想像しては不安を感じていたりして。
映画を見たとき泣いてしまった理由。
泣ける映画というわけではないのに。周りの誰も泣いていなかったのに。
本を読んでいて、やっぱり泣きそうになる。
ずっと、ざわざわした心持ちで読み進める。
そして気づく。
私はこの作品が、手のかかるやっかいなツマが、不器用で臆病なムコさんが、アレチさんが、セイカさんが、大地君が、駒井さん夫婦が、平木直子が、カンユさんが、コソクが、その世界全部が、愛おしかったんだ。
とてもとても愛おしくって涙が出たんだ。
なぜ一緒に生きるのか。
互いを大切に思いあうって、どういうことなのか。
既婚暦のそこそこ長い私にも、まだそれをはっきりと言葉にすることはできないけれど、素直にそれを体現している二人の姿を見ていることは、私にも幸いなことだった。
早く大人になりたいけれど、ちゃんと子どもをやってから大人になると言った大地君。
そう。効率じゃない。
ちゃんとやっているかが大事。
ゆっくりと、丁寧に、濃密に。
- 感想投稿日 : 2014年7月10日
- 読了日 : 2014年7月8日
- 本棚登録日 : 2014年7月10日
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