東京タワー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年2月28日発売)
3.34
  • (352)
  • (657)
  • (1411)
  • (271)
  • (70)
本棚登録 : 8824
感想 : 781
3

どうにも恋愛小説は苦手。

透が詩史に対して抱いているのは愛なの?
ただの恋なんじゃないの?

詩史が透に抱いているのは愛なの?
お気に入りの雑貨を傍に置いておきたいのと同じなんじゃないの?

どうも二人とも自分の気持ちばかりで、相手に対する思いやりとか、立場への配慮とか、そんな優しさが感じられないの。
そういうエゴが愛なんだと言われたらそうなのかもしれないけど、私はそういうエゴの押し付けをされたらさっさと逃げ出すタイプなので、どうもね。
自分大好きっ子ちゃん、と呼んであげます。

対する耕二と喜美子はどうかというと、これもまた、自分のことばかりなんだよね。
でも、喜美子が耕二にだんだん執着していってしまうのはわかる。
まあそれを云うなら詩史が透に執着するのもわかる。
若くてイケメンで自分のことを空いてくれる男性がそばにいたら、そりゃあ嬉しいさ。
だからと言って、今の暮らしを捨てるなんて考えられない。
で、それは愛なの?

耕二の部分だけが、刺さりました。
誰に対しても求められる役割をそつなく演じてしまう耕二。
親に対しては「やんちゃな次男」、同世代の彼女には「なんでもできる格好いい彼氏」、年上の彼女には「彼女の期待に何処までもこたえる、生意気な年下の愛人」、クラスメートには「出来る仕切り屋」。
本当の耕二はどこだ?

本当の耕二の、本人も気づいていないダサいところも含めて愛してくれたのは由利だったんじゃないかな。
けど、耕二は今後も生き方を変えることができないんだろう。
それを言うなら、この小説に出てくる人で、生き方を変えられる人はいるのだろうか?

恋愛小説なのに、みんな自分のことばっかりや。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年7月20日
読了日 : 2015年7月20日
本棚登録日 : 2015年7月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする