骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年9月3日発売)
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感想 : 380
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まだたったの第3弾だというのに、ずいぶん遠くまで来てしまった気がする。
最初から殺人事件とかあったけれども、それは人の心の行き違いとか思惑の捻じれだったりと、事件の引き金を引くのは人の心だったような気がするけど、今回は殺人事件がないのに読んでいてうすら寒く感じるのは、マコトと人のつながりが希薄になってきたような気がするから。

もしかするとマコトは変わっていないのかもしれない。
「西一番街テイクアウト」の香緒に対する態度。
弱いものは徹底して守ってやるってところは、「少年計数機」の頃と変わっていない。
いやむしろ、思わぬキングの優しさにびっくりだったが。

でも「少年計数機」の時の、お互いを思いやるからこそ距離を置かなければならない切なさみたいなものが、今回はない。

マコトの恋も、まあ、ちょっとよくわからない。
レイヴで盛り上がっていたからとか、見た目が好きだからとか、そんな感じにしか取れなかったなあ。いくら言葉を尽くしたところで。

マコトは人と心の交流をして何ぼなのだから、派手な事件じゃなくていい。
そこのところをきっちり書いてほしいと思った。

だから「西一番街テイクアウト」のマコトとキングとサルの3人が、それぞれに何かを背負いながらタッグを組んで、体一つで勝負する話がよかったな。
お母さんや商店街の人たちもよかったし。
自分たちの相手にだってそれぞれの正義ってものがあって、今回はこっちが次回は向こうが勝つってことでいいだろうという、やらせではなくて、本気だからこそのそういう棲み分けが書かれているところも良し。

キングはさておき、タカシは結構好きかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年12月21日
読了日 : 2015年12月21日
本棚登録日 : 2015年12月21日

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