私が学生だった頃、北海道の若い女性にカリスマ的人気のあった佐々木丸美の代表作。
仲のいい友達に何回も「雪の断章読んだことある?」と聞かれますが、今回初読みです。
しかし、映画は観たの。若かりし頃。
結婚する前の10さんが斉藤由貴が好きで。
♪さよならねって言いだしたのは~
私の方が先だったのに~
動き出す汽車 最後の握手
まだほ~どけない~ 離せない~♪ってなシーンは、原作にはありませんでした。
あの映画は何だったのだろう?
それはさておき、面白かった。
現実味は全くないです。
お手伝いさん代わりに小学校低学年の子を引き取るなんていうことが、実際に行われていたかどうかはわかりません。
しかし、20代前半の独身男性が、小学校低学年の女の子を引き取って育てるっていうことはさすがに当時としてもありえないでしょう。
しかも、役所の人たちが全然様子を見に来ないし。
それでも、二年間本岡家で虐めぬかれた結果、飛鳥の心のなかに頑なに人を立ち入らせない部分ができた事は確かで、その事が飛鳥を幸せから遠ざけてしまう。
周りの人たちから何度も何度も「素直になれ」と言われても、なかなか治すことのできない心の殻。
本岡家で過ごした二年間を忘れることができたら、素直に幸せを享受することができたらどんなにいいだろうと、一番強く願っているのは飛鳥。
そして、私自身にもそんな頑なさとか、プライドの高さとかがあるだけに身につまされる。
殺人事件は起きるけれど、事件の謎を追うよりも、自分の心を見つめることに主眼を置いたこの作品は、なんとなく三浦綾子の小説のようでもある。
丁寧に書かれた文章は、ストーリーへの興味というよりもまなざしの繊細さに目が離せず、一気に読み切った。
あと、『孤児文学』というジャンルがあるそうだけど、「赤毛のアン」「少女ポリアンナ」「あしながおじさん」「家なき娘」など、海外のそれは屈託を抱えている割には主人公が素直で逞しくて明るいのね。
けれどこの作品とか「氷点」とか、あとマンガだけど「ひとりぼっち流花」とか「キャンディ・キャンディ」とか「はみだしっ子」とか日本のそれは、苦労とか不幸の波状攻撃で、なかなか幸せにたどり着かない気がする。
文化の違いでしょうか?
あれ?どれも作者が北海道出身って偶然?
もう少しよく考えてみます。
- 感想投稿日 : 2017年5月13日
- 読了日 : 2017年5月13日
- 本棚登録日 : 2017年5月13日
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