兄と妹、ふたりで生きてきたのに突然の母の出現。
強引に同居を迫り、距離感を探っているうちに母の急死。
母のお骨をお墓に収めるため、麦子は母の故郷へ向かう。
若かりし頃の母とうり二つの麦子は、街の人たちと触れ合う度に自分の知らなかった母の姿を知り、母に言うことのできなかった想いや、言ってはいけない言葉をぶつけてしまった悔いと向き合う。
自分の夢を追いかける時代が母にもあったこと。
それを知ることで、自身をもって麦子が自分の夢に向かって行けることが、母のいちばんのプレゼントなのではないか。
口では母のことをぼろくそに言っている兄が、母のお骨の前で号泣する姿を見て、自分の中にそれほどの母への思いがないことに気づいてしまった麦子が、ミチルの中に母を見ていたことに、今の麦子の中から子どもの麦子が透けて見えて、とてもよかった。
松田龍平演じる兄が、いい加減でだらしなくて、不器用に家族思いなところもとてもよかった。
何より母の余貴美子さんの笑顔。
笑顔なのに心の中で泣いているのがわかる。
切ない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年1月31日
- 読了日 : 2016年1月31日
- 本棚登録日 : 2016年1月31日
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