本当に惜しい作品だと思う。
テーマも着眼点も面白く、蔦屋の紹介本を見てとても興味を惹かれたのだが、肝心のテーマ部分が殆ど活かされていない。
シーン切り替えもぶつ切りで一貫性が薄く、カット場面が唐突で前後の繋がりがすんなりわからない。
また、肝心の主人公が「独裁者」から民衆へ心を寄せていくような描写も殆どない。ので納得ができないし、結局ラストどういう心境だったのかわからなかった。
というよりむしろ、独裁者的な描写も少なく悲惨さや冷酷さがあまり伝わってこなかったので、主人公目線で物語を追うと普通にそっちに感情移入してしまう。特に普通に孫には優しいのでただの口の悪いおじいちゃんにしか見えなかったりもする。もうちょっとギャップがあったら独裁者感あったかも。暴動や革命を起こす国民たちの方を「人でなし」とさえ思う。
それも目的かもしれないけれども……
でも孫はとにかく子供らしくてかわいい。わがままで物分りが悪いが、それがいかにも子供らしくていい。ラスト付近の孫にはとにかく胸を締め付けられた。
そして全体の空気感、画もとても良い。前述したがテーマも良い。とにかく惜しい!でも好き。監督の他作品が気になる。
静かな物語をいろいろ考えられる人は充分楽しめるかもしれない。私は物足りなかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
映画:洋画
- 感想投稿日 : 2016年7月3日
- 読了日 : 2016年7月3日
- 本棚登録日 : 2016年7月3日
みんなの感想をみる