孤高(?)の天才ピアニスト、有馬公生の挫折と再生の物語。きっと、結末がきっちり決まっていて、そこに向かって丹念に丁寧にエピソードを積み重ねていったんだろうなぁ、と感じられる、非常に豊かな漫画でした。
特に、公生が心に抱く師匠でもある母親への罪悪感とか相反する憤りとか、
宮園かをりへの想いとか、愛憎が複雑に入り混じる心の表現が秀逸でした。
観客が持つぬいぐるみの瞳に映る醜い己の表情とか、猫とか、ラストの舞い落ちる桜とか。友達のことを好きな女の子への切ない想いをつづったヘタレ男子の物語の側面もあるんですが、やっぱ、亡き母との確執を乗り越えて、ピアニストとして自立していく公生の姿が印象的でしたね。
あと、圧倒的な父親の存在感の無さ。え、死んでる?って思うくらい、全く公生に関わってきません。公生、中学生設定なのに、ほぼ独り暮らし状態だし。ここだけ、ちょっと不自然に思いました。ま、お金の心配は無いのよ、ってことなんでしょうけど。
椿ちゃん、どうするんでしょうね。死んでしまった人には永久に勝てません。どんどん美化されていきますからね。せつないですね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年11月15日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年11月15日
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