口で歩く (おはなしプレゼント)

著者 :
  • 小峰書店 (2000年10月1日発売)
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本棚登録 : 157
感想 : 22
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タチバナさんは二十数年、生まれてこのかた歩いたことがありません。体が自由に動かせず、ねて暮らしているので、背骨も足も、まるでニボシのように曲がっています。散歩びよりのある日、タチバナさんは車輪のついたベッドで出かけることにしました。道で出会った人とお話しをしながら、友だちの上野さんの家へ向かいます。さて、どんな人と会えるでしょうか──?
タイトルに込められた意味、上手いなあ。寝たきり=家もしくは施設から出られないイメージがあったので、タチバナさんの積極性に驚いた。また出会う人は良い人ばかりでないのも良い。郵便局で出会うおやじさんの言い分、否定しづらいよね。タチバナさんのように身体を自由に動かせなくなったら、大抵その世話は家族へと負担がかかる。家族に代わって近所や社会が支えるのは少数派でしょう。しかしその現状がつらくて死を選ぶこと、よくニュースで見かけます。でも誰しも突然死なない限り老いや病気で一人では生きていけない、支えてもらわなくてはならない時が来るはず。避けられない現実だと思う。どうやって支えるか、今の社会では本当に大きな課題だなと改めて感じました。また、どんな人であれ誰かを支えることができるというのも素敵でした。ヒマワリのきみ、そして後書きに涙腺緩みました。あの男の子も、タチバナさんと出会えて良かったです。読友さんの感想を見ていつか読もうと1年ほど放置、もっと早く読めば良かった。オススメです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(~小学2年生向け)
感想投稿日 : 2015年3月18日
読了日 : 2015年3月7日
本棚登録日 : 2013年12月5日

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