成熟した男女のアンニュイズム=倦怠感が充満した作品。 別れ際の夫婦がお互いへの不満を聞き流したり、ぶつけたりとウダウダしています。本作の二人にとって「着かず離れず」っていうのは難しい事の様。 …でもまぁ、お互いの全てを知り尽くした関係より、 お互いの事を知らずとも時間を共有出来る唯一無二の関係が理想。 理屈じゃない部分で人を惹き付けたいし、惹かれたいかな。私的に。 作中にロダン美術館が出てきます。 その美術館のシーンで、リルケのロダン論を用いて 彼の作品を紹介している女性の声が入ってきます。 そのロダン論の言葉が最高に素晴らしかったので紹介します。 「イヴの像」について —項(うなじ)は水平に 背中を丸くこごめ— —胎内の未知の未来を 聞き入るよう— —その引力が彼女の 五感に働き— —母性という謙虚な苦役に 引き降ろすかのようだ—
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- 感想投稿日 : 2012年2月26日
- 読了日 : 2008年3月1日
- 本棚登録日 : 2012年2月26日
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