芥川症 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2016年12月23日発売)
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本棚登録 : 231
感想 : 40
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久坂部羊『芥川症』新潮文庫。芥川龍之介の作品に着想を得て描いた短編集。医療に対する諷刺の効いた短編7編を収録。久坂部羊がまたまた違う一面を見せてくれた。グロテスク、ブラック、ホラー、ユーモア、様々な要素を取り入れた面白い短編集だった。

『病院の中』。『藪の中』からの着想だろう。父親の死に疑念を抱きつつ、難解な医学用語でたらい回しにされる主人公。そして、最後に待ち受ける結末…

『他生門』。『羅生門』からの着想。多くの人びとの支援によりアメリカで心臓移植手術を受けた主人公の人生はもはや自らのものではなくなる。

『耳』。『鼻』からの着想。何ともグロテスクでブラックなストーリー。

『クモの意図』。言わずと知れた『蜘蛛の糸』からの着想。作中に芥川龍之介の『蜘蛛の糸』が落語で描かれる。ブラックでユーモラスなストーリー。

『極楽変』。『地獄変』からの着想。一人の医師の密かな楽しみを描いたグロテスクでブラックなストーリー。

『バナナ粥』。『芋粥』からの着想。落語のような…

『或利口の一生』。『或阿呆の一生』からの着想。著者の半生をベースにした、この短編集の総まとめといった短編。この短編があるが故に短編集全体が面白い作品に仕上がっているようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2016年12月26日
読了日 : 2016年12月26日
本棚登録日 : 2016年12月25日

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