ハヅキさんのこと (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年11月13日発売)
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本棚登録 : 1253
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短編でありながら、行間の余白というか、語らずして語られていることが多く、空気感が伝わってくる作品ばかり。特に気に入っているのは、「琺瑯」「かすみ草」「床の間」「白熱灯」「動物園の裏で」「吸う」。すべてを語りきらない余白が、人間の世界の認識のしかたってこうだよなと、逆にリアリティをもって迫ってくる。引っかかったり、急にとんでもないところへ飛んだりする筋運びも、現実はたしかにこんな感じだと、腑に落ちる。作品の世界に浸った後で、自分自身の現実が、これまでとは違う見え方をしていることに気付いた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年4月1日
読了日 : 2016年4月1日
本棚登録日 : 2016年4月1日

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