人は変われる: [大人のこころ]のターニングポイント (ちくま文庫 た 36-3)

著者 :
  • 筑摩書房 (2014年12月10日発売)
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本棚登録 : 215
感想 : 18
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家庭や会社で多くのストレスにさらされながら日々過ごしている我々にとって、如何に心の負担を軽くして、心をすり減らさないように処していくかは重大事であろう。

本書では発達心理学の視点では十分に成熟した私たち大人でさえ、人生の解釈という視点では大きく変わり得るし、達観というか、より熟達した意識状態にも成り得ると説いている。

同じ物事、外部からのストレスに対しても、その解釈によって心の状態は変化するし、自己の変化を通して、外部との関係性、外部そのものを変える事が可能だという視点は興味深い。

心の治癒能能力としての三つの能力、
・自分から離れ客観的に自分を観察できる能力
・自分ではどうにもできない事柄を受けいれ、絶望する(納得する)能力
・新しい自分に気づいていける能力

主観性の強い子供の心から、客観性が支配する大人の心へと変化していくのだが、更に強い大人の心に変化していくため、上記の能力を発揮し客観性を覆う大人の主観性が必要だと指摘してる。河合先生のおっしゃる、「自分の腑に落ちるものがたりを作ること」とも同義なのだろうか。

窓から射す明るい陽射しを美しいと感じた瞬間から、自分を縛っていた解釈が解け、新しい解釈に変化し、状態が改善して行くクライアントの事例など、大人の心が変化していくありさまを描いている。このような変化の機会が、私の友人にもめぐってくることを切に望む。

文庫版では、女優の中江友里さんが解説を書いておられる。当時大きな悩みを抱えておられた状態で、本書の内容を心の支えとされていた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心理
感想投稿日 : 2015年3月2日
読了日 : 2015年2月10日
本棚登録日 : 2015年3月1日

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