この物語は基本的には「物質的にはそこそこ恵まれていたものの放っておかれた子供」(≒メアリ & コリン)がムーアの自然やら庭仕事やら友達によって再生していく物語なんだけど、子供時代の KiKi はそれもこれも「秘密の花園」な~んていう素晴らしいパラダイスがあったからこその恩恵・・・・というような読み方をしていたところが無きにしも非ず・・・・だったように思うんですよ。 少なくとも KiKi の実家には庭はあったけれど塀で囲まれていたり大木があったりしたわけじゃなかったし・・・・・。 そういう意味では「羨ましがりながら」読んでいたようなところがあるんですよね~。
でもね、今回、この年齢になって再読してみて思ったことは、「秘密の花園」とメアリとコリンは言ってみれば同じものだったんだなぁ・・・・と。 10年間も鍵をかけられ放置されたままの庭も、インドで育った時代に召使いはいても両親との触れ合いや友達もなく育ったメアリも、幼くして母親を失い父親からもある意味で疎まれて寝たきり状態のコリンも、もっと言えば最愛の妻を失った空虚感に支配され続け子供をどう扱っていいのかわからず偏屈になってしまっていたコリンの父親であるクレイヴンさんも、皆が同じ・・・・・。 誰もがすさぶに任せていたような時間を過ごしていたものだったんだなぁ・・・・と。
ある意味で何らかの壁(というより境界線)を作って、自分に閉じこもり、「生きている」実感を伴わない時間を過ごすことによって、周りが見えなくなり、人が見えなくなり、挙句自分も見えなくなっていく負のスパイラル。 それでも本人が気が付かないところで必死で生き延びようとしている何かがある・・・・。 そんなことを感じました。 そういう意味では「孤独」というのものはコリンの言い方を借りれば「悪い魔法」を自分で自分にかけているだけなのかもしれません。
(全文はブログにて)
- 感想投稿日 : 2012年1月4日
- 読了日 : 2012年1月3日
- 本棚登録日 : 2012年1月4日
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