・ストーリー
最初に,最後を匂わせて,ストーリーテラーから徐々に離れていく,という書き方は読者をひきつける。
・キャラクター~テーマ~世界観
この本は小池重明のキャラクターだけでもっている。
モーツァルトを思わせる破滅型の天才。人間として出来損ないであるが,出来損ないであるという弱さが,そして絶対に将棋だけは負けないという矜持が背反し,人を引き付ける魅力となっている。ある人は,こんな人がプロに勝ちまくっていることに痛快感を覚えるのだろう。ある人は,このような男に嫌悪を憶えるだろう。
しかし,議論を呼んでもそれこそが人間的な魅力であり,これが本作のテーマであり,団鬼六の愛する世界観でもある。。
勝負の中だけにしか生きられない人種。そういう男が勝負の場さえ奪われ,真剣に生きられなくなった男の悲哀。男ならわかるところがあるはずだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
将棋
- 感想投稿日 : 2015年6月15日
- 読了日 : 2015年6月15日
- 本棚登録日 : 2015年6月15日
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