ポップ1280 (扶桑社ミステリー ト 5-3)

  • 扶桑社 (2006年5月1日発売)
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本棚登録 : 160
感想 : 14
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2013年8月21日読了。「このミステリがすごい!」海外版2001年度の第1位の作品。人口(pop)1280の片田舎の町ポッツヴィルで保安官を務めるニック、村人に馬鹿にされ女房に罵られるが何故か女にもてる彼が、独自の論理に基づきとる行動とその結果・・・。ジム・トンプスンという作家は後進に大きな影響を与えた「ペーパーバック作家」らしく、けばけばしい表紙絵・安っぽい描写・下品な登場人物・派手な殺人や銃撃戦、炎上するクルマなどの小道具と題材が持ち味らしい。主人公が悪事に手を染めていくノワール小説だが、愚かな男⇒狡猾な男⇒狂った男⇒?、と、一人称で語られる主人公への読者の印象が読み進むごとに変わっていき、最終的に何がなんだか分からなくなるラストに着地する展開が巧み。ぱっとしない男が主人公のつまらない小説と思わせて、何故かグイグイ引き込まれて読まされた。人を見かけや話し方で判断したり、侮ってはいけない。相手が何を考えているかなど、本当に分かるはずもないのだから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ小説
感想投稿日 : 2013年8月21日
読了日 : 2013年8月21日
本棚登録日 : 2013年8月21日

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