桜田門外ノ変(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1995年3月29日発売)
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感想 : 59
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歯医者さんの待ち時間・銀行・バス・寝る前・・・少しずつ読み続けていた吉村昭氏の桜田門外ノ変、やっと昨日読み終えました。2か月もかかってしまった。

そうだなあ・・・僕にとってはきつい一冊でした。どちらかと云えば忠実な、それは多分気が遠くなるような調査の上に書きあげたものだと思いますが、所謂、事実を述べたものです。作者の思いは殆ど入れなかったのではないでしょうか、あとは読者が自分で感じなさいと云うものです。

吉川英治の三国志がありますが、あの本は漢文から来ると思われる朗々とした流れが文から感じられます。そのことで状況描写や心理までをイメージする事が出来たような気が致します。

この桜田門外ノ変にも至る所に武家言葉が出てまいりますが、それは三国志に出てくるような漢文で無く、あくまでも武家言葉です。とは言え、主人公の関鉄之助は歌を詠む事が好きですので

”めぐり逢えて姿見えねど声そえてこは又いかにかかるなみだぞ”

などまたちがったものを感じる事が出来ます。

ペリー来航・不平等条約締結・開国云々の問題に対して、幕府が問題を処理できなかった状態が桜田門外の変を産み、日本は尊攘攘夷・尊王倒幕そして大政奉還と移っていったのです。

今の世の中にリンクするところが多々あり考えさせられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 書籍
感想投稿日 : 2011年6月19日
読了日 : 2011年6月19日
本棚登録日 : 2011年6月19日

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