叫びの都市: 寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者

著者 :
  • 洛北出版 (2016年8月31日発売)
4.60
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 2
5

釜ヶ崎、寄場、暴動など周辺化された労働者にスポットを当てた力作。論文資料としてもいいし、読み物としても深みがあった。
労働者がいかに資本家、国など様々なものに踊らされ、矛盾を背負わされたのか。

日本
・年功序列→日本的雇用慣行の再編→成果主義
・大家族→核家族化
一般的に、労働者を語る場合には日本の社会制度、家族システムなど様々な側面から分析していく。雇用契約自体も雇用主から提示される場合が殆どで、違法労働も頻繁ではない。

ところが、日雇いや出稼ぎ労働者などは雇用契約そのものが特殊なため、資本家や国の制度によって大きく左右される。周辺化されるゆえに使い捨てられ、団結することも禁じられる。
現在では、携帯電話で現場へ行くため、現場をボイコットしたり、危険な企業を教え合うこともできない。不当な労働をする中でも、関係性がつなげた釜ヶ崎とは違う点だ。

本著を通じて、働くという根源的な問いを与えられた気がした。今後、労働人口減少、年金抑制(将来的に崩壊?)など社会制度を運営することが困難になっていく。
女性、高齢者だけでなく、周辺化された労働者への関わり方が問われる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年11月30日
読了日 : 2016年11月11日
本棚登録日 : 2016年10月22日

みんなの感想をみる

ツイートする