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もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)についてのacosanさんのレビュー


レビュー by acosanさん

 未設定  未設定  登録日: 2011年11月19日

写真が豊富に挟み込まれたわずか130頁にも満たない短い本から
頁をめくるたび飛び出すのは、
異国の匂い、ピート臭、パブで流れる音楽―ウィスキー本とでも言っていい程ウィスキーに限定した内容の本にも関わらず―著者独特の物事の見つめ方。

著者がアイラ島のまったくタイプの異なる2つの蒸溜所、
ボウモアとラフロイグを訪れる場面がある。
ボウモアは、昔と変わらぬ製法で丁寧に作られている。製法にも味にも確かに人の温かみが感じられる。
一方、ラフロイグは近代的でコンピュータ管理の、非常にシステマティックなやり方でつくられている。
このように2つの蒸溜所を説明すると、後者はまったく手抜きをしているようにも思える。人のぬくもりみたいなものは感じられない。少なくとも、表面的には。これまでちょっとでもおいしいと思ったことを後悔したほど。
しかし、読み進めると、ちょっとでもおいしいと思ったことを後悔したことを後悔した。
それは、「大事なのはかたちではなく味だ」という、蒸溜所のマネージャーのことばによる。
何でもそうだけども、大切なのは枠組みではない。もちろん枠組みが大切なこともあるけれども、それは多くの場面では本質ではない。本質は、本当に大切なことは、たいてい、その中にある。

また、このマネージャーがウィスキーの年数の多寡について語ったこと。
村上春樹のテーマを、このマネージャーが代弁したように感じた。特に最初の一文。
「年月が得るものもあり、年月が失うものもある。
エヴァポレーション(蒸発)が加えるものもあり、引くものもある。
それはただの個性の違いに過ぎない。」

年数が多い方がいいと思いがちだけども、ウィスキーを人に置き換えてみるとわかりやすい。
2歳の男の子と90歳のおじいちゃん、どっちが優れていますか?と。

ウィスキーに水をちょびっと入れて、
あるいは氷を入れて(本書によると邪道らしい レビュー登録日 : 2011年11月20日


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