コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年7月27日発売)
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2016年上期芥川賞、日常的な言葉を用いているがベタベタしたところがない、かといって淡々とというのも違うリズム感のある少しコミカルな文体が魅力。

主人公はちょっと変わった子、というか人間関係をうまくこなしていくことが苦手なタイプなのだが、コンビニ、という規律とマニュアルで統率されている小さな世界にぴったりとはまっている。
その目で見た、いわゆる普通の人間関係や、コンビニで起こる出来事は、 新鮮。
きちきちしたマニュアルが気持ちいい人って、こういう感覚なんだなぁ......

自尊心ばかり強くて何もできない・しない男が登場して、主人公と同居を始めちゃうのだが、この手の男性はいるよなぁ...という感じ。
非常に厄介。
人、というものが分からない主人公は、それがゆえに彼のペースに引きずり込まれていくのだけれど、18年間働き続けた蓄積に助けられる。

体を動かす、手を動かす、って大事だ。
いや、そういう話ではないんだろうけれど。
コンビニ、おもしろいね ....

p.s.
この主人公、人間関係が苦手で社会不適合、ダメ人間、みたいに描かれてて、そのまますんなり読んでしまったけど.....ほんとは、変だ。
ちゃーーんと働いてる、働けてる人だ。
こういう人が非正規で?セイフティーネットもなく?結婚してない正社員じゃないと否定的な目で見られる?
変だ。
それって、おかしいでしょう?

じゅうぶんに普通に働いてる人を、蹴落そうとするいまの社会。
それって、とっても、変だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説
感想投稿日 : 2017年4月29日
読了日 : 2017年4月29日
本棚登録日 : 2017年4月29日

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