内容が多岐にわたっているため要約しづらいが、グローバル化時代におけるコミュニティの復権を、「コミュニカティブ(対話的)・コミュニティ」という点に集約して論じたもの。
政治哲学・社会学をひきながら「コミュニティ」の変遷を問い、さらに政治的・文化的に「コミュニティ」がどう定義されてきたかを考察する。これらをベースに、一気にポストモダン・グローバル化の視点を持ち込みまとめあげる。
一方でたいへん整理されており、他方でたいへん錯綜してもいるが、議論としてはやはり圧巻の構成である。
たしかに(訳者が解説で述べたとおり)ポストモダンに傾倒しすぎな面もあるが、私の「ポストモダン」に関する断片的な知識に照らせば、その方向でおおよそ正しいように思う。ポストモダン的なコミュニケーション形態が登場し、それは情報通信技術の発展にともなって、ますます強化されつつある、というところだろうか。(しかしポストモダン理論に関しては不勉強なので、なんともいえないとこが悔しい)
もう一点なるほどと思ったところは、訳者解説における「グローバリゼーション」の定義。何の集団を媒介することなく、直接に個人が世界に結びつけられてしまう――曖昧でもやもやした「グローバリゼーション」という言葉が、ふとクリアになった瞬間であった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
共同体
- 感想投稿日 : 2011年6月19日
- 読了日 : 2011年6月19日
- 本棚登録日 : 2011年6月19日
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