コミュニティ グローバル化と社会理論の変容

  • NTT出版 (2006年3月28日発売)
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感想 : 7

内容が多岐にわたっているため要約しづらいが、グローバル化時代におけるコミュニティの復権を、「コミュニカティブ(対話的)・コミュニティ」という点に集約して論じたもの。
政治哲学・社会学をひきながら「コミュニティ」の変遷を問い、さらに政治的・文化的に「コミュニティ」がどう定義されてきたかを考察する。これらをベースに、一気にポストモダン・グローバル化の視点を持ち込みまとめあげる。

一方でたいへん整理されており、他方でたいへん錯綜してもいるが、議論としてはやはり圧巻の構成である。
たしかに(訳者が解説で述べたとおり)ポストモダンに傾倒しすぎな面もあるが、私の「ポストモダン」に関する断片的な知識に照らせば、その方向でおおよそ正しいように思う。ポストモダン的なコミュニケーション形態が登場し、それは情報通信技術の発展にともなって、ますます強化されつつある、というところだろうか。(しかしポストモダン理論に関しては不勉強なので、なんともいえないとこが悔しい)
もう一点なるほどと思ったところは、訳者解説における「グローバリゼーション」の定義。何の集団を媒介することなく、直接に個人が世界に結びつけられてしまう――曖昧でもやもやした「グローバリゼーション」という言葉が、ふとクリアになった瞬間であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 共同体
感想投稿日 : 2011年6月19日
読了日 : 2011年6月19日
本棚登録日 : 2011年6月19日

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