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「赤松正雄の読書録ブログ」で取り上げた本です。 赤松正雄(あかまつ まさお) 公明党・衆議院議員
レビュー by akamatsuさん
荷風と風太郎を比較しながら戦争を考える【赤松正雄の読書録ブログ】
「日本という国が生まれてから今日までの歴史の中で、もっとも劇的な五年間」―「大東亜戦争が始まった昭和16年後半から、連合軍の日本占領の最初の一年が終わる昭和21年後半まで」に、永井荷風、山田風太郎、高見順、伊藤整ら作家が書いた日記を読むことが出来た。ドナルド・キーン『日本人の戦争』によってである。著者はあとがきで「引用部分も多く、書きやすい一冊だった」と告白しているが、決して軽い中身ではなく、実に重い。昨今、司馬遼太郎の『坂の上の雲』が話題を呼び、日清、日露の戦争に向かっていった頃の日本と日本人に改めて関心が集まっている。先の大戦はこの二つの戦争の延長線上にあるだけに双方同時に捉えて行く必要があることは言うまでもない。
戦争を全く知らない世代が60歳の半ばを超えてしまった今、特に若い人々に読まれるといいだろう。戦時中20歳代前半だった山田風太郎と老境期に入っていた永井荷風の二人が何かにつけて対比されて書かれているのは興味深い。
ヒットラーの死を知って「彼や実に英雄なりき!当分の歴史が何と断ずるにせよ、彼はまさしく、(中略)人類史上の超人なりき」と絶賛し、対米復讐を誓っている風太郎。一方、荷風は終始一貫戦争に憎悪を抱いており、その態度は当時の文化人の中で群を抜いている。風太郎で強く印象付けられたのは、「ひっきりなしに本を読んでいた」こと。とくに荷風のものが好きだったというから面白い。勿論、荷風の日記など当時の風太郎は知る由もないが・・・。
荷風はその後、昭和34年まで戦後を生き抜いた。戦争中と同様に「孤立」を貫いた姿は目を瞠るばかりだ。そのあたり半藤一利『荷風さんの戦後』にくわしい。「断腸亭日乗」なる全集を書棚に並べてはいるものの、手を伸ばす機会は全くない私にとって、キーンさんや半藤さんの手引きで荷風の一端を知ってすっかり分かった気になっている。
レビュー登録日 : 2010年04月20日
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