枯葉の中の青い炎

著者 :
  • 新潮社 (2005年1月26日発売)
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本棚登録 : 138
感想 : 14
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辻原登さんの短編集。新潮社。川端康成文学賞受賞の表題作を含む六つの作品集。
単行本なので解説がついてない。初版から1年後で4刷目。すごい。売れてる。
エンターテイメントではなくて純文学系の物語だけどわりと読みやすかった。
ちょっとオカルトっぽい部分もあるけれど、違和感がない。むしろ、あり得ることと背筋が反応した。作品によっては寒くも熱くも…悲しくと変化する。

300勝達成を目前に苦闘する老いたスタルヒン投手に悲願を叶えさせるため、ひとたび間違えば大きな災いが襲うことを承知で密かに南洋の呪術を使う男の話「枯葉の中の青い炎」。1カ月だけ愛人と同棲したい、という夫の望みを聞き入れてやる妻が妖しい「ちょっと歪んだわたしのブローチ」。奇妙な匂いに誘われて、妻の妹をレイプしてしまった男のモノローグ「水いらず」。野球に天才的な能力を持ちながら不幸な人生をおくった同級生を、深い哀切の思いを込めて追想する「野球王」など(「BOOK」データベースより)

現実が描かれている筈のなのにいつのまにか幻想の世界に迷いこんでる…それが心地よく核心へと導いてくれる。人間の深い部分への道案内をしてくれてるのかもしれない。
久々に読み応えのある作家に出会えて充実感を感じた。もっといっぱい読んでいってもこんな清冽感を味わわせてくれるのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年11月16日
読了日 : 2009年11月16日
本棚登録日 : 2009年11月16日

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