ぐっとくる題名 (中公新書ラクレ 227)

  • 中央公論新社
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121502278

作品紹介・あらすじ

名タイトルにはワケがある!文学、漫画、映画、音楽など、ジャンルを横断した55作品の題名を分析、その魅力を語り尽くす。タイトル付けに悩むすべての人におくる、実用派エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • ブルボン小林、恐るべし。内容ではなく「題名の書評」。企画の面白さもさることながら、内容もちゃんと面白い。
    お笑い芸のようなノリツッコミ形式は、手法としては堅いので単に芸の出来不出来で楽しめる。でも、これはレベルの違いこそあれ素人でも真似できること。
    著者の素晴らしいところは、一方でマーケティング論として、他方で発想法として、そしてなにより文芸批評としても良質の内容になっていること。
    穂村弘の『世界音痴』のタイトル書評には心を動かされた。以下、引用。
    「そのことを世界で一番先に感知し、言語化した。これはまぎれもない詩人の仕事である。」

  • 『ぐっとくる題名』という題名にぐっときて思わず手に取ったのだが、題名をパターン分けして解説していてとても楽しく読めた。最後の章を読むまでは。
    常日頃から本(主に小説)を読んでいるが、非常に珍しい体験をした。
    事前にレビューを読まなくてよかったと心から思う。

    ブルボン小林氏についての知識がなく、これから読もうと思っている人は、貴重な体験ができる可能性を潰してしまう恐れがあるので、以下の文章、および他のレビューは読まないで本書に臨んだ方がいい、かもしれない、
    いや、やっぱり読んでも全然問題ないと思います。
    (読後に気付いたが、カバーの作者略歴にも別名義の記載あるし・・・)



    『ジャージの二人』という作品名が出たとき、ああ読んでないけどタイトルと表紙なんとなく覚えてるよ、で作者だれだっけ?と初めてブルボン小林さんが小説家でもあることに気づく。
    同じく『タンノイのエジンバラ』。
    ああ~タイトル見たことある~、で作者誰だっけ?気になるがあえて調べない。

    で、最後の最後で、え?芥川賞?『猛スピードで母は』?
    ・・・、長嶋有じゃねぇか!
    コラムからミステリに変わった瞬間だった。

    そうだよ!『ジャージの二人』『タンノイのエジンバラ』は読んでないけどそうだよ!長嶋有さんだよ!
    面白いコラムだな~と思って軽い気持ちで読んでたら急に大どんでん返しきたよ!
    思わず長嶋有×枡野浩一の対談のくだりを読み返したが、この本はブルボン小林名義だし、はっきり別人と言っているわけでもないからここはフェア。
    まんまとミスリードさせられてた、というか勝手にしてた。
    伏線の張り方といい、オチのタイミングといい私にとっては素晴らしく良質なミステリでした。

  • 日記のタイトルを真剣に考えている私にはとても役に立ったし、面白かった。

  • 題名買いをする私にとっては、胸の熱くなる本。

    そもそも著者がぐっとくる題名の名手なのだ。
    『タンノイのエジンバラ』しかり『サイドカーに犬』しかり。

    おもしろい考察が、新旧問わぬ作品を例にいくつも書かている。

    たとえば、【濁音と意味不明な単語】で取り上げられた『しだらでん』。
    大雨、大風を意味する古語なのだが、その響きにえもいわれぬ良さがある。
    また、『島耕作シリーズ』は、島耕作が出世するたび題が変わるのだが、『取締役』なんて語感の悪さは頂けない、出世も考えものだと本気で考察している。

    『ツァラトストラかく語りき』に至っては、『ツァラトストラはこう言った』なんかじゃ全然だめ、そのダメさは『北斗の拳』が『ついでにとんちんかん』になるくらいのものだとわかりやすいんだかわかりにくいんだかな例えがまたいい。
    私生活でいえば
    あの劇団のタイトルはここからきてるな、とか
    あの音楽はフムフム、とか結構わかっちゃいました。
    さらさーと読めるので
    タイトルに悩めるあなたは是非。

  • ブルボン小林名義の本で、題名のつけかたについてゆるゆると語っている。暇つぶし系の本だけど、けっこう面白い。失礼だが、この人には小説書かせないでいい。お題を与えてゆるゆる書かせるのが一番向いていると思う。

  • 2023.07.22 朝活読書サロンで紹介を受けたブルボン小林をAmazonで検索したら偶然見つけた。

  • たしかに「ゲゲゲの鬼太郎」の「の」とか「部屋とYシャツと私」の構図とか考えたことがない。ウルトラマンタロウだけ実子なの? 聞いたことがあったような気もするけれど、知らなかった=と言ってしまうくらい記憶には残っていなかった。クラーク博士の言葉の訳が「君たち、メソメソすんなよ」でいいんあじゃないかというのはニヤリとさせられる。

  • 本や漫画や映画などのタイトルで「これは読みたく(見たく)なる!」「上手いなあ」と感じるたび、これをまとめたら面白いのではないかと思っていたのだが、もうすでに出ていることを知り、早速読んでみた。
    目次を見て、あっ、これがプロの仕事か!と思ったのは、ちゃんと分類してあること。ただ集めるだけでなく分類、分析するから読み物として面白いんだな。当たり前のことだけど、思いつかなかった。
    私が「これは!」と思ったタイトルで被っていたのは「ツアラトゥストラかく語りき」と「幸せではないが、もういい」「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の3タイトルだけで、目次に出ているタイトルには「すごい!読んで(見て)みたい!」と思わせないものも正直言ってあったのだが、本文を読んでみてすごく納得した。

    例えば「ゲゲゲの鬼太郎」。「ゲゲゲ」が何であるかわからないが「の」でつないでいるということは「三丁目」や「墓場」などと同じく「の」の前後の言葉の関係が明瞭であることを示している。
    「お茶うけ」「レジャー」などの系列の言葉だったら「ゲゲゲに鬼太郎」となるし、「げげっと驚く」のゲゲだったら「ゲゲゲな鬼太郎」のはずだ、と。「ゲゲゲ」なんていうわけのわからない言葉を「の」でつなぐと「ゲゲゲの意味なんてものは知っていて当たり前というか、ああ、ゲゲゲね。分かります分かります、と言わなければならない感じがする。」(p17)
    「うしろの百太郎」も「うしろに百太郎」なら整合性が取れているのにあえて「の」とすることで
    「百太郎にとって「うしろ」がより切実なポジションという感じがしてこないか。そして我々皆の「うしろ」に常に百太郎が存在するような気にならないだろうか。」(p17)なるほど、確かに。
    「部屋とYシャツと私」というのはなんか変なタイトルだなと思っていた。普通は部屋の中にYシャツや私がいる(ある)ので、それを同列につなぐことになんだか違和感があるのだが、ここにある言葉を足すと納得がいく、という説明も面白い。
    著者は俳人でもあるので、言葉の取り合わせに敏感なのだろう。
    大変楽しくあっという間に読んでしまった。
    あとがきに「あの題名もあるのに!」と読者が思ったら成功、と書いてあったが、私も「あれもあるよ!」と思いながら読んだので、成功ってことでしょう。

  • 長嶋有のタイトルのつけ方は上手だなと思っていて(猛スピードで母は、タンノイのエジンバラ、ジャージの二人、夕子ちゃんの近道など。)、それでおもしろく読んだ。ナオコーラもこれ読んで勉強してほしい(本文はけっこう好きなので)。増補版なるものがあるのね、そっち読みたいけど、図書館にブルボン小林名義がこれ一冊(買わない)。

  • どうしてる買ったのか既に定かではないの本。積ん読文庫がなくなったので、仕方なく手に取ったが、思いの外面白かった。web連載+活字倶楽部連載+書き下ろしのまとめということで、予想外に読みやすかったのも丸。言葉は目にしたり耳にした時点である程度のイメージを人に持たせるのだなぁ。作者の感性はすべてわかったとは言えないが、分かるような気がする部分もあり、なかなか興味深かった。

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著者プロフィール

ブルボン小林(ぶるぼん・こばやし)
1972年生まれ。「なるべく取材せず、洞察を頼りに」がモットーのコラムニスト。2000年「めるまがWebつくろー」の「ブルボン小林の末端通信」でデビュー。現在は「朝日新聞」夕刊(関東、九州、北海道)、「週刊文春」、「女性自身」などで連載。小学館漫画賞選考委員。著書に『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』(ちくま文庫)、『増補版ぐっとくる題名』(中公文庫)、『ゲームホニャララ』(エンターブレイン)、『マンガホニャララ』(文春文庫)、『マンガホニャララ ロワイヤル』(文藝春秋)など。

「2018年 『ザ・マンガホニャララ 21世紀の漫画論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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