文藝春秋 2016年 09 月号 [雑誌]

  • 文藝春秋 (2016年8月10日発売)
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感想 : 36

厭離穢土 欣求浄土(おんりえど ごんぐじょうど)

ツアストラかく語りき by ニーチェ

ーコンビニ人間ー by

「いらっしゃいませ」(略)そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。

外から人が入ってくるチャイム音が、教会の鐘の音に聞こえる。ドアをあければ、光の箱が私を待っている。

前に友達と会ったとき身体の中にあった水が、今はほとんどなくなっていて、違う水に入れ替わっているように、私を形成するものが変化している。

どちらかというと白羽さんが性犯罪者寸前の人間だと思っていたので、迷惑をかけられたアルバイト女性や女性客のことも考えずに、自分の苦しみの比喩として気軽に強姦という言葉を使う白羽さんを、被害者意識は強いのに、自分が加害者かもしれないとは考えない思考回路なんだなあ、と思って眺めた。

えっ、自分の人生に干渉してくる人たちを嫌っているのに、わざわざ、その人たちに文句を言われないために生き方を洗濯するんですか?

体調管理をして健康な体をお店に持っていくのも時給の内

気がついたんです。私は人間である以上にコンビニ人間なんです。人間としていびつでも、たとえ食べていけなくてのたれ死んでも、そのことから逃れられないんです。私の細胞全部が、コンビニのために存在しているんです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノーベル
感想投稿日 : 2016年9月26日
読了日 : 2016年9月26日
本棚登録日 : 2016年9月26日

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