共産主義における経済体制を確立する以前のマルクスが、民族や文化について分析した一冊。特にヘーゲル法哲学批判序説は、マルクスが公に自身の名を用いて書いた初めての論文だ。
しかし私が注目したいのは前者のユダヤ人問題に寄せての方。ユダヤというだけで学者になれなかったり、社会的に大成できなかったりした天才は過去多く存在する。ドイツならばケルゼン、フロイト、ジンメルなどが最たる例だろうか。マルクスが批判・分析したかったのは、そうした当時のユダヤ人差別の風潮がどこから来たもので、これからどこへ向かうのか、そしてどうそれを解釈し修正すべきなのかという点に終始しているように見える。彼自身ユダヤ人であることから考えると、純粋に、学問的な意味を除いてでも読むべき匿名論文だと思う。
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カテゴリ:
ドイツ哲学
- 感想投稿日 : 2015年2月6日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年1月23日
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